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なぜゴルゴはかの銃を選んだか?AK-47 vs M16

小銃。アサルトライフルといえば、真っ先に思いつくのはなんだろうか?ここでガーランドとかシュマイザーとーか挙げる方は、まずおるまい。やはり、M16とAK-47・カラシニコフだろう。

アサルトライフルのアイコンとも呼べるこの二丁。くしくも、「アメリカ」と「ソ連」。冷戦でにらみ合っていた巨大二頭を代表する銃だ。となると、こういう疑問が頭をもたげる。

「果たして、強いのはどっち?」

子どものころから、離れない。常に「最強は誰だ?」と考えてしまう。それは男のサガ。そしてこの二丁の優劣は、ガンマニアから傭兵まで、永遠の課題ではないだろうか。

というわけで、少しその二丁について、まとめてみたい。

M16のもっとも有名なユーザー、ゴルゴ13

まず、M16というと、真っ先にこの男を上げねばならない。

『ゴルゴ13』

ルパン三世と並ぶ、日本を代表するヒーロー。
裏家業を生業としているところも同じ、そして、「これ」と決めた愛銃があるのも同じ。ゴルゴの場合は、M16だ。
しかし、ゴルゴはこの銃がゆえにピンチに陥ることも多い。

特に、第493話『激突!AK-100VSM-16』という話。

この話は、「AKシリーズの優秀さをアピールするためにゴルゴを倒す」という、まさに今回のテーマのために用意されたような話だ。

実際に、彼らがとった行動は次の通り。ゴルゴがM16のクリーニングキットを取り上げ、砂塵と塩害が多い戦場におびき出す。するとM16は面白いようにジャムをする。という作戦だ。この結末は、ぜひその目で見てほしい。

実際に、初期投入されたM16。その評判は悪かった。

今までとは全く違う「スタイリッシュ」なデザイン。プラスチック使用の軽量さは他のライバルを大きく引き離す。また、新開発された.22口径弾は、高速で命中精度も高い。おまけに小型なのでたくさん携行できる。現代のアサルトライフルの小口径化の先駆けとなるものだった。

早速ベトナム戦争に投入されたが、その結果はさんざんだった。というのが「自動クリーニングまでついている」という触れ込みでアメリカ軍に導入されたこれ。
実際に泥や湿気の多い戦場では、すぐ停弾を起こし、まるで使い物にならなかった。詰まった薬莢を取り出すため、銃口から棒を突っ込む姿が続出。ニューヨークタイムズは『単発式マスケット』とさえ酷評した。

とにかく頑丈なAKシリーズ

対照的に、そんな泥付け、砂塵付けになる戦場で頼りになるのはカラシニコフ。念のため説明すると、カラシニコフというのは AK-47 の設計者の名前だ。そしててAK-47とは、1947年式カラシニコフ自動小銃、の略称。そのため AK-47ともカラシニコフとも呼ばれる。

トカレフ以来、ソ連の兵器のポリシーとなった「なるべく単純に」を具体化したような思想。シンプルな機構は、「故障知らず」ということ。パーツが少ないのは、頑丈さの裏返し。

部品間に「遊び」として設けられたスペースは0.3mm。普通のアサルトライフルなら0.1mm。このガバガバが、ごみなどの異物が入っても確実な作動を保証してくれる。

また、重いスライドは作動をほんの少し遅らせる。激発時に、チャンバーの中に残ったカートは膨らみ、その熱が冷めないまま排莢しようとすると、薬莢が破損。その破片が作動不良を起こす。

これはアサルトライフルの主たる停弾の原因。しかし、カラシニコフでは、あえて排莢へ一泊置いて、薬莢が冷えて縮まり、スムーズに排莢できる工夫をしてあるのだ。

「曲がったカートでさえ撃てる。」このタフな作動は完璧。それは、世界中でコピー品が作られていることでもその優秀さがわかる。何せ部品点数が少ないので、作るのが容易なのだ。

加えて、アフガニスタンとイラクとの国軍再建で、米国自らがカラシニコフを「正式」採用した。国旗にさえ取り入れられたアサルトライフルは、カラシニコフだけだろう。

また、安価なことに加えて「誰でも簡単に射撃からメンテナンスまでできる。」ことから、資金難を示していた共産主義の解放運動をしている国家にとって大きな魅力となる。結果、カラシニコフは共産主義、ひいては「人民の武器」というステータスを与えられた。実際に、モザンビークを筆頭に、この銃を国旗にさえあしらう国さえある。

このようにイデオロギーのアイコンにまで押し上げられた銃は、カラシニコフ以外にはちょっとお目にかからない。先ほどのエピソードでさえ、ゴルゴに『AKは、50年後も名銃として名を残すだろう。しかし、M16には、それまでの命はない』とさえ言わしめたのだ。伊達にギネスブックに「世界一使われた銃」として名を馳せてはいない。

しかし、逆に「量産しやすく、タフである」その優秀性を見込まれ、コピーにコピーを重ねた結果、今や「テロリストのアイコン」であることも否めない。アメリカの射撃場でも、撃っているだけで白眼視される。アイドルにはアンチがつきものだとは言うが、優秀性の裏返しの皮肉だ。

M16とAKの命中精度

しかし、M16には、目を見張る命中精度がある。100mで、ほぼヘッドショットが可能なM16。ノーマルのカラシニコフは、人間大の標的に当てるのは、200mが限界。カラシニコフの精度は、M16に逆立ちしてもかなわない。裏を返すと、M16は「クリーニングさえしていれば」故障知らず。一撃必殺がトレードマークなスナイパー、ゴルゴは、その点に惚れて使い込んでいるのだろう。

また、改良が加えやすい設計なのもM16の強み。次々変わる戦局に応じて、柔軟に対応できる。そうでないと、ここまでM16が生き残れない。試しに、M16の派生形をガンカタログで追いかけてほしい。おそらくとらえきれないぐらい多数の進化系がそこにあるはずだ。同じように、改良されたカラシニコフも星の数ほど派生形を生んではいるのだが。まさに、「現代のマスケット」並みにド定番となったM16の雄姿がそこに。

M16AとAK、どちらを手にするか

というわけで、結論としては「安価でタフ」を求めるのならカラシニコフ。命中精度ならM16だろう。

トイガンのM16AとAK

そしてこれらを日本で手にするのであればトイガンだ。日本を代表すメーカー、ウエスタンアームズと東京マルイから発売されている。

AK-47

AK-47であれば東京マルイ。

M16

M16であれば東京マルイと、ウエスタンアームズ。

今となってはプレミア価格だが、ウエスタンアームズからはその名の通り「ゴルゴ13カスタム」が出ている。

ゴルゴ40周年記念限定商 M16 ゴルゴ13カスタム

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マルイのは電動ガン。ウエスタンアームズのはガスガンとしてモデルアップされている。双方とも、ストックに充てるチークピース。そしてスコープを支えるマウントなどは、この銃のために新規で作られた気合の入りっぷり!

サバイバルゲームなどのツールとして割り切るのならマルイ。強烈なリコイル。そして実銃に近いディティールを楽しみたいならウエスタンアームズのものを。

ゴルゴファンには、究極の夢である実物プロップが、日本最強のエアガンメーカーの手で!いい時代になったものだ。


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