リアルトイガンの極限、KSC

「リアル」なトイガンは?
と言う問いに対しては、このメーカーを挙げられる。
KSC。名門トイガンメーカーMGCの血を引くメーカーだ。

「実銃へのこだわり」を挙げると、日本でこのメーカーの右に出るものはいない。今回はKSCについて書いてみようと思う。

例えば、素材にこだわる。各種金属部に、耐久性に優れた焼結形成金属を新規に作る。

もちろん、メカニズムもものすごい。

例えば、マカロフは、実銃同様、グリップ後部の一本のねじだけでグリップが止まっている。また、SIGのポリマーフレームオート、SP2022は、ボタン一つでグリップ後部が外れ、メンテナンス・分解がたやすいという実銃の特徴を模している。

「エアガン独特の構造を取りました」と、より作りやすい設計にしてもいいのに、実銃の構造を極限まで取り入れる。また、マガジンを入れ、初弾を入れる時。スライドを引かないと、たとえ撃鉄が落ちても発射しない。

これは、実銃通り「初段を送り込む」儀式をしないと「撃てない」という常識を再現したもの。
引き金を引いたら、最初の一発が空撃ちのまんまスライドが動いて、「ああ、ガスブローバックするトイガンだな。」と興ざめになったことはないだろうか?

このこだわりようから、KSCの「ホンモノ志向」がわかる。
トリガーのあそび、タッチにもこだわる姿は「石橋をたたいて渡る」ほど細部へのこだわりが光る。

ベレッタ・グロック・カスタム45オート系統、と、きちんと売れ筋な機種も抑えているけど、それでも、KSCならでは!な機種も多い。
トイガン界に初めてガスガンの革命を与えた、ベレッタM93Rは、性能は最新のまま、さらにコストダウンされ、手に入れやすくなっている。

東京マルイが「電動ハンドガン」としてM93Rをリリースしているが、リアルで、迫力ある「ガスブローバック」をしてくれるのはKSCだけ。

そして、MGC時代から出している、映画『ロボコップ』の愛銃、オート9もリリースし続けているところは、往年のファンサービスなのかもしれない。

また、Cz75は、MGCの血を引くKSCの看板。

愛用者からの熱いリクエストに応え、何回も小改良されてリリースされたCz75。
実銃の「実用一点張り」からぎりぎり色気がにじみだす、ほっそりとしたスライド・グリップ。そのリアリティは、おそらく日本一だろう。
というか、MGCのCZの最終進化系。使えるガスブローバックとして、CZを出しているのはKSCだけだ。

また、ワルサーPPKのライバルとして、中型オートの代名詞と化しつつあるSIGP230シリーズ。

ちゃんと日本の警察仕様までリリースしてくれているのが嬉しい。

そして、最近のKSCの目玉商品と言えば、マカロフにトカレフ。今まで、どこも出してくれなかった、旧ソ連の銃器を、立て続けにリリース。ひょっとすると、「日本一」有名なオートかもしれないトカレフ。

ファン積年の悲願、積年の「使える」ガスブローバック「トカレフ」がついに手に入れられる!その完成度の高さは、「本物のトカレフもこれくらい完璧ならなぁ」と噂されるほど。

また、実物と同じく「セフティ」まで省かれている。この辺は良くも悪くも「実銃の再現」にこだわるKSC。取り扱いには十分ご注意を!

そして、トカレフに次ぐロシア軍正式採用拳銃マカロフ。

これは、業界初のリリース。
PPKとブローニング380のいいとこどりをしたようなデザイン。セフティを上に上げてON。どこをとっても個性的。

チョイ悪オヤジが持ったら、ものすごく絵になる銃。「東側」の代表拳銃と言っていいほど、ロシアンテイストあふれた独特の逸品。ロシア銃ファンだけではない、中型拳銃好きなら、一丁持っていて欲しい!

このように「東側」の銃器が、特に「マカロフ」まで出されたのは、トイガン界の快挙!

「模型」が精密なディティールを宿命づけられているなら、「銃」の模型としては、KSCが最高峰だろう。しかし、トイガンとしての実射性能は、マルイに劣る。

あまりにも精密すぎる構成は、故障を引き起こしやすい。そして、精緻を極めたメカニズムゆえ、分解=玄人向けだ。また、手間暇かけているだけに、マルイより高い。

逆に言えば「弾の出るモデルガン」が欲しい。実射性能なぞディティールの次! と思う方には、たまらない逸品だ。

KSCしか出してない商品もいくらでもある。感性に訴えるメーカー。それがKSCだ。


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