映画

今時のマグナム – IMI デザートイーグル

「マグナム」というと、連想する銃で、はっきりとおっさんか、そうでないか分かってしまうのではないだろうか。70年代、ガキ世代だったおっさんなら、バカでかいリボルバー。そして今の世代なら、オートマテック・マグナムの『デザートイーグル』だ。

そう、デザートイーグルというのは、「マグナム・オート」に革命をもたらした。マグナム弾がオートで撃てる。というのは、おそらく有史以前からの漢の夢、というのは、いくらなんでもオーバーだけど、やはり銃に関わるものにとって、捨てがたい夢なのだろう。実際に、オートマグを皮切りとして、「ウィルディ」「グリズリー・ウィン・マグ」など、ちょこちょこ銃砲史に登場している。

しかし、デザートイーグル以前では、作動不良が多く、特に、オートマグは、「オートジャム」(ジャム=弾詰まり)とあだ名をもらうほどだった。というのが、みなさんはとっくにお気づきになっているかもしれないが、マグナムはリボルバーが多い。その理由は、構造が単純で、その分壊れにくく、強化しやすいからだ。

しかし、オートではこうはいかない。何せ、銃の上半分のスライドが後退し、なおかつ薬莢をはじき出し、スライドが戻って、次の弾を装填する。映画なんかではごく当たり前に目にするオートの発砲シーンだが、文字にすると、リボルバーと比べて複雑な作動をしているのがわかる。となると、当然、リボルバーに比べ、オートマティックの方が、部品点数は多くなる。部品が細かくなると、マグナムの強烈な反動に耐えられる強度が確保できない。

さらに、マグナムという特別強力な弾に対応するため、発射時に対応する高圧ガスに対応するために、同じく強力な弾を使う自動ライフルと同じ、ガス・オペレーション・システムを入れるのが一般的。だから、不必要に大きくなったり、機構が複雑化したりして、いわゆる「まともに撃てる」マグナム・オートは作るのが難しかった。

しかし、時代は変わった。技術の革新により、より強い素材、より精密な精度を可能にした現在がはじき出した「最高」のマグナム・オート。それがデザートイーグルだ。

ウージー・サブマシンガンなどの発売で有名なIMI社が、1979年に初めて357マグナムモデルを発売したのが皮切りだけど、実はこのバージョンは、評判は悪かった。というのは、357マグナムの細い薬莢と、リボルバー用の弾薬である、薬莢の底が外に出っ張っている(リムド)形があだになった。そのおかげで、5・6発撃つたびに作動不良が起き、過去のマグナム・オートの弱点は克服できなかった。

実際に、この357マグナムのデザートイーグルは、コロコロコミックのガンアクション漫画『リトルコップ』にも登場したのだが、あんまり知名度もなく、なんとなくイロモノだなぁ、という印象に終わってしまった。ここまでで終わってしまったら、デザートイーグルも「過去の珍銃の一つ」として、マグナム・オート史の中に埋もれてしまっただろう。

しかし、次に出た44マグナムを使うデザートイーグルは違った。弾が太くなったこともあって、作動不良も減り、「使えるマグナム・オート」としての代名詞を着実に獲得していく。そして、最終的に、50AE弾を開発することにより、それまでの最強「45ウィンチェスター・マグナム」を抜く。そして「世界最強のマグナム・オート」としての地位を不動のものとした。この50AE弾以上のパワーを求めようとすると、リボルバーに移行するしかない。まさにオートでは最強だ。

また、弾丸も、オートマティック専用の、リムレス弾・・・要するに弾の底のへりがない弾にすることにより、より作動不良が起きにくくなる。今、マグナム・オートの代名詞を挙げろ、といわれたら、即「デザートイーグル」の名を出すだろう。

事実、映画の『コマンドー』で、シュワルツェネッガーが使用していたのを皮切りに、彼はこの銃を気にいってしまい、他の出演作品でもしばしば出てくるようになった。あるいは、また、SF刑事アクションの金字塔『ロボコップ』。リメイクが何回もされている『ニキータ』、果てはウルトラマン・ティガまで、あらゆるところに顔を出す。ゲームでも、『バイオハザード』シリーズでも一躍有名。特に、ゲームの版元のカプコンと、東京マルイのコラボで作られた10インチの特別モデルは、いまだに印象に残っている人もいるだろう。

まるで、コルト45オートのように、頻繁に出演するデザートイーグル。まぁ、マグナム・オートと言えば、それしかない、ということもあるが、何よりデザインが実に画面映えする。オートマグ等を見ればお分かりになると思うが、マグナム・オートというのは、実に個性的な、そう「近未来」を彷彿させる、独特のデザインを取っている。

デザートイーグルも、これまでの「マグナム・オート」とは違った独特の個性を出している。ぬめっとしていて、金属の鮫を思い起こされる、直線的なデザイン。バレルとスライドが、まるで一体化して、巨大な一本のバレルを形作っているようだ。そして、スライドの溝に指をかけ、一気に引っ張ると、まるでどっかの秘密研究所のシェルターが開くように、分割面にそって排莢口が開く。ぬぼっと、普通のオートの倍は開かれた排莢口は、あくびをしたライオンを思わせる。

という具合に、いかにも「これ、実はレーザーブラスターなんですよ。」といわれても説得性がある。だから、映画『プレデター』や、ゲーム『スナッチャー』などのSF的な作品に引っ張りだこだ。

ルックス、というのはけっこう大事で、例えば、デザートイーグルなどという超ド級の威力を持ったハンドガンは、用途が限られてくる。対人用には完全なオーバーキルだし、携帯するにも、全長269mm、重量一キロ以上の鉄の塊を持って歩きたいか?ということになる。だから、コレクターや、マグナム・オートならではの長距離射撃で的を狙うなど、趣味として買い求めるユーザーが多い。となると、カッコいい、というのは、強烈な動機になるのではないだろうか?

初めてトイガンを買う人、あるいは、このページを見ていただいている方も趣味の延長だろう。「あの映画・ゲームで主役が使っていたから。」という動機は、けっこう強烈だろう。もちろん、デビュー当時は、東京マルイなどの有名トイガンメーカーから、なんと、プラモで有名なアオシマまで、各社デザートイーグルを競作していた。しかし、今、簡単に手に入るのは、東京マルイのガスブローバックか電動ブローバックぐらいになってしまった。

東京マルイのガスブローバックは、50口径のモデルを再現している。見た目はリアルだし、内部構造に改良がくわえられているので、実射性能も高い。

何より、太い角材みたいなスライドが、ガツンガツン、手に反動を残しながらブローバックする様は、迫力がある。ただ、スライド後退量が少ない。そして、分解方法が違う。実銃は、バレルを先に抜き取るのだが、マルイのは、スライドごと引き抜く。作動・使いやすさ優先でこのような設計になったのだろう。これ以外欠点は見られない。さらに、クロームメッキ仕上げ、木製グリップ、10インチバレル付の『バイオハザード』限定モデルも見逃せない。

とは言ったものの、実はマルイは、デザートイーグルを多産しているメーカーだ。ガスブローバック、電動ブローバック以外にも、スライドが動かない(フィクスドスライド)ガスガンのデザートイーグル。エアコッキング式デザートイーグルまで出している。フィクスドスライドの方は、トリガーは重く、マガジンの形がもろ棒状だが、冬場でも安定した作動を保証してくれるし、安価だ。エアコッキングの方も、いちいち撃つ前にスライドを引かなければならないけど、でかいスライドが、ワニが口を開けるようにガバリと開くのは心地よい。何より、1900円に毛が生えたような低価格が最大の魅力だ。

ちなみに、両方とも44マグナムをモデルアップしている。どうも、50口径はなんとなくでかすぎる、と思っている方。これならば少しスリムなデザートイーグルが味わえる。

だけど、「いちいちブローバックしない銃は何か物足りない。だけど、高いのはイヤ。」と思っている方。マルイの電動ブローバックのデザートイーグルはいかがだろうか。

これまた、3000円代で買える割には、性能は折り紙付き。マガジンは、棒状になっているのが残念だけど、15発も入る。単四電池四本を買えば、グリップに仕込まれている電池ボックスに挿入。これで発射準備は整う。カシャコン!カシャコン!という音とともに、ブローバックするスライドの反動は軽く、スピードも少し遅い。ガスブローバックに慣れている方には、すこし物足りないかもしれない。

ただ、実銃にはついていない、グリップセフティまで完備している。グリップの前方にあるこれを押しながら、引き金を引くと、初めて弾が出る、かなりの安全仕様だ。電動ガン特有の、発射までのタイムラグがあるし、外装もプラ丸出しだが、それでも、この価格で手軽に、しかも、狙ったところに当たる爽快感を味わえるのは、この銃を置いてほかにない。東京マルイの、デザートイーグルに関する愛が伝わってくる一品だ。

そして、もう一つ。今は絶版状態になった、ウェスタンアームズのデザートイーグルもある。44マグナムを再現しており、分解方法、刻印、はてはスライドの後退量まで、原作に忠実なのを目指していた。特に、マルイのガスブローバックよりもスライドが後退して、ガバリとマガジンが丸見えになるのは、ライオンがあくびしたような迫力とユーモラスさがある。ただ、ガス漏れを起こしやすい機体なので、要注意!今では、SⅡSがその内部機構、正確な刻印などを受け継いだデザートイーグルを出してる。しかし、これまた50口径しかないのが残念かもしれない。

という具合に、デスクトップに一台・・・というのは、いささかかさばりすぎる銃だが、やはり、巨大な灰色熊みたいな獰猛な美しさ、迫力を持つデザートイーグルは、持っていて損はない銃だと思う。他人と一味違う銃を持ちたいアナタ!男だったらマグナムという浪漫がわかるあなたへ、是非おすすめしたい。