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コルトを卒業したユージ?リボルバーを卒業したタカ? – 『あぶない刑事』最近の銃トレンド

今回は、ユージの最新銃トレンドから入る。というのは、最新作、劇場版第六作『まだまだあぶない刑事』で、ユージの銃が大幅に変わった。

というのはローマンにパイソン、そしてキングコブラと、コルトのリボルバーを愛用していたユージが、なんとS&Wに移行した。しかも、M586だ。M586というと、かつてタカが愛用していたS&W社最高の357マグナムリボルバーじゃないか!?さらに、これは携帯用コンバットガン「キャリーコンプ」風。カスタムされまくっている。すっぴんのM586とは別物のイメージすら漂う。

ベースガンは、MGCのM586。しかも、かのFBIもお墨付きをした銃身長、3インチモデルだ。さらにフロントサイト形状も、大型化されており、シリンダーを出す時に押すサムピースも、小型で使いやすい形状に変えてある。一番目立つのは、銃口先端に溝のようにうがたれている穴。これは、マグナポートと呼ばれる。発射時に出すガスを、銃身上に放出。反動を抑えようとする仕様で、カスタムガンではよく見られる。

しかも、グリップは、ホーグ社風のラバーグリップを装備。つまり、反動を吸収しやすいということだ。ただでさえ反動が強い357マグナム、しかも、軽くて反動がもろにくるスナッブノーズの手綱をさばきやすくするための工夫が、ぎゅっと詰まっている。
S&W社が直接カスタムを手がけた「パフォーマンス・センター」の「パワーポートカスタム」の再現なのだが、「いまどき」のリボルバーカスタムのスタイルとなっている。

あぶ刑事ファンでも、いや、リボルバーファンなら垂涎のカスタム。しかし、トイガンとしてはリリースされていない。かつてMGCから「キャリーコンプカスタム」として、限定品で出ていた。

モデルガン界をリードしてきたMGCの作品だけあって、作動、仕上げとも一級品!「まだまだ」好きなら、いや、カスタムリボルバー好きなら、手に入れていて損はないが、かなり値が張る。私も、数年前にリサイクルショップで見かけて、なんで手に入れなかったんだろう、と後悔することしかりなシロモノだ。

という具合に、けっこう愛銃を変えているユージなのだが、一貫してリボルバーと言うところにこだわりを感じる。実は演じる柴田恭兵氏は、銃にそんなこだわりがなく、映画に対してスタッフが提出した銃を使っているらしいが、その裏には、舘ひろし氏の「ガバメント」に対するこだわりがあった。

タカを演じる舘ひろし氏なのだが、実はガバメントにこだわりを持っている。ドラマ『新宿鮫』の時期ぐらいから、ガバメントを愛用し始めた舘氏。何せ、TVドラマ、『西部警察2003』で、新団長となった舘氏がもっていたのも、ガバメントタイプの、スプリング・フィールド社の1911A1モデルだった。そのこだわりは、例えば、こんなことがある。スタッフは、ガバメント用に、ヒップ・ホルスターを予定していたのだが「あぶ刑事にはショルダー」という舘氏の一言で、従来通りショルダーが使用されることになった。

という感じで、銃にうるさい舘氏が注文したガバメントは、「ノーマルのイメージを崩さない、シンプルなものに、ラバーグリップを付けたもの」という感じだった。そして、出来上がったのは、現代ガバメントの王道である、シリーズ80をベースに、小粋なおしゃれが光るカスタムモデルとなった。

もともと、映画のワンオフ銃、つまり架空のカスタムに近いのだから、トイガンを取り上げた方が早い。そう、この「タカのガバメント」が、みなさんの手に入る! しかも、「ガスブローバックの45オートだったら、俺に任せろ!」な、ウエスタン・アームズ社の手によって!

マグナ・ブローバックにて、ブローバック後に弾が出る本物と同じ仕様。排莢穴からのぞくチャンバー。そして強烈な反動の再現に成功。
それ以来、日本のガスブローバック・ハンドガンを引っ張っていくメーカーの巨頭になったウエスタン・アームズ。

そして、同社はガバメントにもっとも力を入れており、ラブレスカスタムなど、実銃のオールドから最新カスタムまで再現。そればかりでなく、劇場版『マイアミバイス』の45オート、アニメ『緋弾のアリア』のアリアの銃など、劇場版のプロップの再現にも力を入れている。
そして、その中にも「ハマ仕様の刑事カスタム」がある。その名も『ワイルド・ホーク』だ。

で、見てみると、なるほど、すっぴんのシリーズ80の45オートの雰囲気なんだけれど、ところどころモダナイズされている渋い銃だ。

スライドはシリーズ80。今風に、スライド前部をもつかんでコッキングしやすくするために、スライド前面に滑り止めの溝が入っている。で、普通のガバメントが、少し斜めに溝を入れているのに対し、これは垂直に立っているところからも、さりげなくこの銃の本気がうかがえる。

また、リアサイトも、ノバックタイプの視認がしやすい大きなサイトに変えられている。サイドがきっちりと立ったスライドも、アクセントとしてかっこいい。いや、ノバックやキンバー用なら、サイト用の溝がすでに加工されていて、楽なんだけど、わざわざシリーズ80のスライドを、ここまで加工して作ってるんですぜ。この手間のかかり具合からも、ウエスタン・アームズ社の本気がわかる。

で、気合が入ったスライドとは逆に、フレーム部分は、セフティ・トリガーなどにノーマル色を残している。だけど、ラブレスタイプの、ノーマルより細いグリップ下部のハウジングが、手に優しい。また、デフォルトで、名門グリップメーカー、パックマイヤーのグリップがついてくるのもうれしい。

限定品なので、オークション・リサイクルショップ、そしてガンショップと、目に入ったら押さえておくのも悪くない。また、メーカー側でも、少しずつ改良を加えながら、再販されることもある。ウエスタン・アームズのサイトのチェックも忘れないようにしよう。

それでも物足りないアナタは、いっそ自作してみるというのはどうだろうか?幸い45オート系のカスタムパーツは、星の数ほど種類が豊富だから、イメージに近いものに、パーツをかき集めて作るということは、比較的たやすい。実際、自分でタカ・カスタムを作り上げている人も、ネットでちらほら見かける。自分の手で、自分好みのタカ・カスタムを作り上げるのも悪くないかもしれない。

そして、タカのもう一つの愛銃。

「世の中には二丁拳銃の刑事もいるんだ! 」
『もっともあぶない刑事』より

それが、S&WM49、通称ボディガードだ。

M49とは、別名「肩をいからせたチーフスペシャル」「猫背のチーフスペシャル」と呼ばれるもの。そう、小型リボルバーの代名詞「チーフスペシャル」。世界各国の、もちろん日本も含む公的機関が採用し、『あぶない刑事』でも、カオルやパパさんが使っていた小さな巨人。S&W社最小フレーム、Jフレームを使い、38スペシャルという対人用には十二分な弾を使う、五連発の小型リボルバーだ。

そのハンマーを、フレームですっぽり覆い隠してしまったのが、M49ボディガードだ。なぜそんな大げさなことをやるのかと言うと、ポケットなどに忍ばせておいて、抜き撃つときに、ハンマーが引っかかるのを防ぐためだ。タカのヒップ・ホルスターに忍んでいるM49は、幾度もタカの危機を救い、シリーズ通して使われている。メインの彼女はガバメントに変わってしまったが、やっぱり最後に頼るのは、おふくろ的頼れる存在はこれなのだろう。

モデルガン、ガスガンともに、今のところタナカしか出していない。ガスガンの方は、ペガサスシステムの多弾数リボルバーで、これまた頼りになる存在だ。もちろん、本物のグリップも取り付け可能だから、これにラバーグリップを付けて、アンダーカバーを気取るのも悪くない(ただし、くれぐれも自室内でお願いしますよ)。

カート式ガスリボルバーなら、かつてはマルシンが出していたが、今は絶版品。だけど、マルシンは、自分の製品を大切に扱う会社。チーフスペシャルもリニューアルして出してくれたので、ひょっとすると、万が一、またボディガードが出るかもしれない。

それはさておき、マルシンの旧作のガスリボルバー・ボディガードを買うときには、ガスルートの破損には注意しよう。というのは、サイドプレートに仕込まれたガスルートが弱く、酷使されたマルシンのリボルバーは、ここがへたれている場合が多い。また、弾丸の方も、サイコガン並の急カーブを描いて飛ぶ。三メートル先のマンターゲットに、当たるかどうかも不安な銃だというのは、覚悟しとこう。

というわけで、実はユージの銃がモデルチェンジしているのは、少しずつバージョンアップしている、タカ・カスタムに合わせて、という話も聞く。

だけど、『あぶない刑事』に使われた銃。そしてそのトイガンを挙げてみると、さすがにリボルバーが多い。しかし、小型から大型まで、実にバリエーションに富んでいることに気づかされる。しかも、トロイ動物としてかわいがられていたトオルの愛銃でさえ、44マグナムの4インチだ!今挙げたトイガンは、その手に持つだけの価値がある。あぶない刑事のファンだけでなく、万人におすすめできる逸品だ。

せっかくのあぶない刑事最終章を迎えるにあたって、ここで紹介されたものから、あなただけの一品を選び、DVDでTVシリーズ一作目から、彼らの活躍、変遷を振り返るのも悪くない。