Kフレームリボルバー至高の一丁 タナカ・ストラウプPPCカスタム

2022年の3月に発表されたタナカ最新のKフレームリボルバー最新作、ストラウプPPCカスタム。
創刊400号を迎える、銃器専門誌アームズマガジン。
それを記念して、「リボルバー」と言えばこのメーカー、タナカワークスとタッグを組み、リリースされたのがこれ。
ほめ言葉で「時代に逆行する」カスタムリボルバー。
しかも、ど正当で王道な「PPCカスタム」だ。

たまにはストーリの絡まない、純粋なお勧めのモデルガンを紹介したいと思う。

タナカ×アームズマガジン モデル65 ストラウプPPCカスタム モデルガン

では早速。

まず、ストラウプPPCカスタムの実銃の話。

銃雑誌のカリスマライターでフォトグラファー。トイガン界、伝説の男、イチロー・ナガタが、「PPC競技に使えて、なおかつ実戦に使える銃」ってコンセプトのPPCカスタムリボルバーを思いつき、サンフランシスコ周辺で名をはせていたガンスミスのE.R.ストラウプに依頼して完成させたものが、この銃。

おっと、その前にPPCカスタムとは何か? 
PPC競技とは、実践的な射撃術を狙った競技の一つ。
FBIが警官の射撃技術向上の訓練のため、マンターゲットを、各種違う距離で打つ。
7ヤード。25ヤード。50ヤードだ。
これが、民間人にも門戸を開いた形で、生き残っている。
そして、今から41年前に作られたのが、このストラウプPPCカスタムだ。

これに限らず、PPCカスタムと言えば、当時は、「最強のガン」として、ガン雑誌軒並み飾っていた。
遙か昔、この太く、力強いバレルを見て、とりこになった方もおられるかと。
実際、当時リリースされたモデルガンのPPCカスタム。
『西部警察』でも、沖田五郎・通称オキ刑事、山県新之助・通称タイショーが。M29ベースの、PPCカスタムを使っていた。

あるいは、鳩村刑事がパイソンベースの、PPCカスタムを使っていたのが、今でも変わらない、根強い人気の秘密だ。


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しかし、M29は、威力が強すぎる。
パイソンは、それだけ高価で、さらに高精度なバレルを取り替えるのは疑問がある。
だから、PPCカスタムと言えば、S&Wの357マグナム。
特に、「Kフレーム」がよく使われる、というのが実銃界での定番だった。

熱心なガンファンは、そういったリアルな「KフレームのPPCカスタム」を望んでいたのだが、時を経てここによみがえった。
しかも、「4インチ」
過去のPPCモデルが、大迫力な、長銃身ばかりだったのに対し、携帯性と命中精度が両立した4インチ、は、不思議となかった。
つまり、これは、PPCカスタムファンが望んだ、理想のリボルバーだ。

そのモデルガン化に当たって、各所かなり気合が入りまくっている。
まず、ベースガンはM65。

普通、ここは、メジャーな357マグナムである、M19を持ってくる、と思われがちだが、わざわざ、ベーシックリボルバーなM10系統から持ってきている。
おかげで、尻の丸い「ラウンドフレーム」ようのグリップがつく。

もちろん、特徴的な、リブ、王冠のようなフロントサイト。リブに埋め込まれるようにあるイライアソンサイトなどもばっちり再現。
トリガーは細身のナロータイプを採用。
ハンマーは、重い打撃で確実な発火を約束する、ワイドハンマーが装着。
親指かけがないハンマーをチョイスすると思ったが、この辺も渋い。
また、シリンダーも、カートリッジのふちが入るカウンターボアードを採用。Kフレームではタナカ初。
そのために、シリンダーを止める、シリンダー後方のフレーム下側にあるシリンダーを止める突起の部品の位置をずらすという凝りよう。

また、個性的でごっついニールタイプグリップは、見た目に反して握りやすい。


特に、右手親指がかかるところに、ちょうど支えるように、親指にそったでっぱりが出ているのは素晴らしい。
実は、スクエアパッド、つまり、グリップ後部が四角く出っ張っているもの用のグリップなのだが、グリップ後部が隠れているデザインなので、違和感がない。

個人的には、リコイルシールドに、残弾確認用の小穴が開いているのがツボ!
ここから、カートリッジのお尻「プライマー」の打撃跡がわかるって寸法。

こんなちっとの工夫なのに、今までどこのメーカーもやってくれなかったんで、感激すら覚えますっ!
あるいはまた、S&W同様、ロッキングボルトで、しっかりとシリンダーが固定されるのがツボ。

細かいところで、実際に、過去のPPCカスタムでは、シリンダーはそれを支える支柱「ヨーク」のみで固定され、肝要な「軸」部分では固定されなかった。

また、発火カートリッジは、二つ火薬を使うダブルキャップカートリッジ採用!
飛び散る銃声、迫力が違う!

まさに、いたれりつくせりで迫るストラウプPPCカスタム。
しかし、一番のネックとなるのがこの値段。
確かに完成度は高い。
しかし、6万円もする。
3万円以内だったら、気楽に手を出せるかも知れない。

では6万というこの数字、妥当なのだろうか?
今、私の手元にあることが、雄弁に物語っている。

まず初めに、今となると、これだけクオリティが高いPPCカスタムを「これ以外」で求めるならば、絶版品を買うしかない。
そうなると、MGCのモデルガン。弾が出るとなれば、スモーキーガンファクトリー製の組み込みキットを組み入れたものを買うしかない。

しかし、これがコンディションのいいものなら、10マン平気で超えてくる。
しかも年代物で、下手すると何回も使用した中古品。
レストアは覚悟で買うしかない。
加えて、ガスガンなら、ベースがマルイのリボルバーなので、エジェクターロッドが動かない。
それでも、Kフレームの4インチモデルは、10万を超えることもある。

もう一つ、手はある。
カスタムをする専門ショップへ持ち込んで、作ってもらうということ。
しかし、これも高い。
ハンドメイドだから、だいたい同じような価格だろう。
加えて「一品もの」なので、故障時のフォローが利きにくい。

それを考えれば妥当な値段だが、誰にでもお勧めできる商品ではない。
現在、PPCスタイルで買えるものと言えば、マルイのエアコッキング、そして、マルシンのコンストリクターぐらいしか思いつかない。
で、いくら「エアガンの価格が最近上がっている」とはいえ、ストラウプより半額以下で買えてしまう。

それを推して、買うことができるか?
本当にそれだけの価値はあると思うが、、、
過去のPPCカスタムは、例えば造形が甘かったり、内部メカがリアルではなかったりと、どこかしら「アラ」があった。
だけど。このストラウプは、妥協がない。まさに「現在の技術を注ぎ込んだ」名再現となっている。
それでも、二次ロットの注文が出るほど「求める人はいる」
また、タナカのKフレームリボルバーの、ほかのパーツを流用したり、グリップを変えたりして、さらに自分好みにできるのもいい!

本気のタナカ。本気のリボルバーが味わえることは間違いない。
機会があれば、触れておくことだけどもお勧めだ。

タナカ×アームズマガジン モデル65 ストラウプPPCカスタム モデルガン