映画

時代に逆行か、最先端「ウィンチェスター」レバーアクション

「フルオート万歳!」な昨今のトイガン界。なんやかやで、レバーアクション長物は生き残っている。

「西部を開拓した銃」ウィンチェスター・ライフルが代表格だ。

銃のレシーバーの下に位置する、デカいレバーを下に引いて、装填と排莢をこなす。

逆を言うと、コッキングするエアガンと同じで、弾を撃つのにいちいちレバーを作動させねばならない。引き金引きっぱなしで、何百発という弾幕を張れる最近のエアガンと違って、なんて牧歌的なのだろうか?

それでも、現役でいくつかのメーカーからリリースされている。

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マルシンのM1892

例えばマルシンから、ライフルとして有名な、M1892だ。

これはガス式で、しかもホップが付いている。いかにも今風にアップデートされた形。
だけど、きちんと機関部横のローディングゲートから弾を入れて、レバーアクションで装填する本格的なものとなっている。
しかも、西部劇の代名詞、『拳銃無宿』で、主役のランダルが使用。

一躍「ウィンチェスター・ライフル」のカスタム決定版となった、ランダル・カスタムもあるのが嬉しい。

ソウドオフよろしく銃身・ストックが切り詰められ、引きやすいようにレバー部が大きくなっているのは、いかにも取り扱い優しく、「手練れの拳銃使い」を彷彿させる。

散弾銃だったら、M1887。ショートバレルの奴なら、ターミネーター2でおなじみだ。

嬉しいのは、がこっ!とレバーを引くと、ポコッとカートが飛び出すのが楽しい。

しかも、M1887だから、「ショットガン」つまり、ショットシェルを模した、単三電池よりバカでかい薬莢が飛ぶ。

また、パワーも申し分なく、明らかに他のエアガンとは違う、腹に響く音を出しながらカートを吐き出すのは、見ていて爽快!

給弾口などというものは無く、機関部をダイレクトに開けて、給弾をするシステム。これが、リアルそのもので、まだ「マガジンチューブ」というアイディアが無かったころに制作された証拠。歴史を感じさせる。

BB弾を仕込んだカート使用なので、ジャムはどうしても避けられない。しかし、詰まった弾を、手動排莢するのさえ、「実銃」を彷彿させていい。

これまたフルサイズの「ガーズガン」まで出そろっているのがありがたい。

KTWのM1873

あるいは、KTWからも、M1873が高級エアガンとしてリリースされている。

これならエアコックだから、パワーソースにガスがいらない。季節を通じて使えるわけだ。
金属パーツも多用され、詳細まで再現された名作。

ラフな使い方は、ちょっとNGだけど、スコープマウントが別売りされているというところが、こいつの命中精度の良さを示している。
いちいちローディングゲートを使わないで、マガジン交換ができるというのは、リアルでない一方、便利だ。
これも、ランダル・カスタムも発売され、向かうところ敵なし、といった感じだ。

ポイントのウィンチェスターとマルコシのスーパー7

しかし、最強なのは、ポイントのウィンチェスターを挙げたい。
何せ金属カートを使って、実銃と同じ操作が楽しめる。
モデルガン派も満足させる作り込みで、マニアに大うけしたんだけど、もう絶版でプレミア価格が付いている。

意外な穴場ならば、かつて出ていた、マルコシのスーパー7ではないのだろうか。
もはや絶版な銃だけど、大ヒット作なので、比較的、手に入りやすい。
明らかに子ども向けなサイズは、電動ガンBOYSのごとし。
詰めの甘いディテールが、郷愁を誘う。
しかし、パワーソースがエアのみなのは、エコノミックだし、何より薬莢が飛ぶ!
実は、カートにBB弾を込めるという、凝りに凝った仕様。

もともと、この銃は、TMガンとして、エアガン黎明期から、つづみ弾→BB弾と改良されて生き残った由緒正しい銃。
しかし、この「ホンモノ志向」は、それまで出ていたエアガンから一線を画していた。
TMガン以前の銃は、「何かSF映画に出てきそう」な、オリジナルなデザイン。
「これ弾丸どこに込めるの? 」と、首をかしげたくなるスタイルだった。

しかし、前述のように、TMガンは、なるべく「ホンモノに近づけよう」というコンセプトで生まれた。
当時の西部劇ブームに乗ったこれは、メーカーを変えつつ、長く販売された。
他のシリーズが、時代の波に載って、カートリッジを廃していったのに対し、この銃だけはかたくなにカート式だった。
そこに込められたこだわりを、感じてほしい。
もちろん、弾も詰まりまくるが、それが何だというのだろう(強調)
箱出しで、停弾が起こらず、なおかつ当たる銃が当たり前になっているこの時代。
ちょっと待て。我々は「戦争の模擬訓練」をやっているのだろうか?
そうではないだろう。そこに、このような緩さ。「趣味」が入ってくるようなゆとりがあるからこそ、トイガン道楽は「ガチで殺しあう」銃撃戦シミュレーションになっていない。
いわばレバーアクションライフルは、トイガン界の良心なのだ。

そもそも、日本のガンブーム。エアソフトガンはるか以前のモデルガンブームを牽引したのは、『駅馬車』『荒野の用心棒』
数々のウェスタン

そこには、フルオートやらガスガンなど影も形もない。ただ「銃の形」をしているだけの「おもちゃ銃」

しかし、ギラギラまぶしい昼の光の中。あるいは沈む夕日に照らされて真っ赤に染まったそこに、我々は何よりも「ホンモノ」を感じ取っていたのではないか?

現在の銃もいいけど、昔の銃もいい。
しかも、それが現代の技術を持って甦るのは、ガンマニアにとって、なんという幸せだろうか!?
などど暑苦しいパトスを感じ取っていただければ幸いだ。


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