ショットガンスナイパー?マルゼンCA870とその周辺

マルゼンのCA870が、サバゲー愛好家たちの間で、名銃に謳われているのは揺るぎのない事実だ。

レミントンM870をイメージしてデザインされたらしいソードオフのショットガンスタイル。しかし、その下に付くボックスマガジンは、実銃ではありえない。

加えて、これは散弾を吐き出さない。単発で、しかもいちいち手動で動かすエアコッキング式だ。

ガスでブローバック。あるいは電動ガン全盛な時期に、なんで時代をさかのぼるようなそんな仕様なのか?

CA8700の命中精度

この秘密は、高い命中精度にある。

マルゼン社が主催する精密射撃競技、APS。それに対応するために制作されたAPS-2というライフル。この性能は、明らかに他社のどんなライフルより優れていた。

当時スナイパーライフルとして、トイガン黎明期から長年君臨してきた、エアソフトガンのスナイパーライフル王者。マルコシのスーパー9シリーズが、一瞬にして過去のものになったことからも、APS-2の実力のすさまじさはわかる。

そのAPSの狙撃性能を生かしたノウハウがつぎ込まれたのが、CA870。つまり、ショットガンの皮を被った高性能ライフルというわけだ。

ソードオフタイプなので、拳銃の延長として取り回ししやすい。エアコックなので、パワーソースもいらないし、冬の寒い中でもトラブルは起こらない。
そして、「ショットガン」なんだから、ポンプアクションで手動連射ができる。

まだパワーソースに「ガス」を使うなどというのは夢のまた夢だった時代。エアコック当たり前で上等だった時代、やはり、サバゲー向きの改造は、銃身下のポンプをスライドさせるだけで弾が連射できる「ポンプアクション」カスタムが求められた。

そして、その実践性は、CA870が証明している。
ショットガンなのにスナイパー。エアコックの連射に生かしたポンプアクション。これは、まさにゲーム用のツール。

ショットガンの枠に閉じ込められないで、ただ、「ハンディなスナイプライフル」であるだけに、全力を費やす。
実銃の再現にこだわらない、発想の自由さは、黎明期の頃からサバイバルゲーム界を牽引したマルゼンだからできる「銃」だろう。

CA870の弱点とコピー製品

しかしながら、こいつの弱点は、「スコープマウント」が別売りなこと。何せ「ショットガン」なので、背中側にはサイトもクソもない。

スコープ。それでなくても、せめてダットサイトなど、照準器を使いたい。そうしないと、せっかくの精密な命中精度がもったいない。そういった点で、今回紹介するM47C1は、頭一つ抜きんでている。

M47C1とは、CA870のコピー品。優秀な銃がそうであるように、CA870も、有名な海外メーカーから続々コピーされている。

しかし、M47C1は、最初から「スコープマウント」が付属する。ボディを包み込むようなマウントには、上方だけではなく、左右にも20mmレイルが付いている!
これで、サイトばかりかフラッシュライトなど、各種アクセサリーがゴージャスに付けられる。デザイン的にも、一回りごつくなって、ワイルドな印象を受ける。

では、中身は安かろう悪かろうなのか?と言えば、そんなこともなく、CA870の高い命中精度を受け継いでいる。
しかも、ホップ調整が、ワンタッチ。排莢口に当たるところにスライドレバーが付いていて、撃ちながらでも細かい調整ができる。

加えて、引き金引きっぱなしで、ポンプを前後させるだけで弾が出る、改良されたポンプアクション。ただでさえ連射が効くCA870に、さらなる連射性を持たせた改良点だ。

以上三点、本家のCA870より優れている点。加えて、ここまでついてかなり安い。

ディスカウントショップ、ネット通販などを使えば、本家の半額程度ですむ。
弱点として、肩にかけるためのひもを付けるスイベルが無い。CA870ではワンタッチで交換できる他社製グリップが付かない、などがあげられるが、そんなものは些細な事。

ソードオフのワイルド感が味わいたい。手頃にスナイピングライフルが欲しい。
M47C1、そしてCA870はそんな事を思っている方には、もろ手を挙げて賛成できる逸品だ。

2019年にはシリーズに「CA870ブルドッグ」が登場した。「セクシーでキュートなショットガン。マルゼンCA870ブルドッグ」を参照していただきたい。


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