ブラックホークは昭和の香り。『ドーベルマン刑事』

スタームルガー・ニュースーパー・ブラックホーク。

「西部を征服した銃」。アメリカを代表する銃である、コルト・シングルアクション・アーミーの進化した形。

まず「男だったらタダの拳銃弾には興味ありません」とばかりに、マグナム弾対応。しかも、当時世界最強の44マグナム。

リアサイトは微調整が効く可動式。しかも、ローディングゲートを開けるだけで、シリンダーがフリーに回転できる至れり尽くせり仕様だ。

コルト・シングルアクション・アーミーとブラックホーク

SAA(コルト・シングルアクション・アーミー)だったら、再装填の時、ローディングゲートを開けるだけではリロードできない。いちいち撃鉄を少し上げなきゃシリンダーが動かない。つまり、排莢、再装填のたびに、撃鉄が宙ぶらりん状態になる。ちょっとしたミスで、火薬満載の弾に激発が起きるかもしれない。

これは危険だ。

しかし、ブラックホークにはその危険が無い。


何せ撃鉄は落としっぱなしでリロードOK。加えて、引き金が落ちている限り、銃の中に埋め込まれたファイヤリングピンが弾の尻を叩くこともない安全装置が付いている。

まさに、SAAの欠点をすべて克服した名銃だろう。
加えて安価。そして何千発マグナムを撃とうがガタがこない頑丈さ、ときたら、売れない方がおかしい。

というわけで、実銃は結構人気があるかの銃。しかし、「あくまでスポーツ」用途限定の話だ。

だって、いちいち撃鉄を起こさなければいけないシングルアクション。弾を積むシリンダーは、一応は抜くことができるが、スピードローダーも使えない。

ローディングゲートを通すからには、一発一発愛情込めて、手で込めてやらなければならない。それだけではなく、その理屈で、一発一発排莢をしなきゃいけないシステム。

一説によると、「現代のダブルアクションリボルバー」は、シングルアクションリボルバーに比べて、三倍ほど攻撃力が高い。

そりゃそうだろう。引き金引くだけで連射が可能。シリンダーが銃の横に出て、一気に排莢、装填ができる。これは強い。

というわけで「スポーツ射撃」専用なこの銃は、いかにもマニアックなはずなのに、日本では知名度が高い。現在でも、マルシン社がモデルアップしているぐらいだ。

しかも、8mmBB弾から、きわめてダミーカートに雰囲気が似ている、Xカートリッジの6mmBB弾使用にリニューアルされて生き延びている、人気の高い銃。

国内のブラックホーク人気はここから「ドーベルマン刑事」

そこまで根強い人気ができたのは、おそらくこの漫画からだろう。

『ドーベルマン刑事』(原作・武論尊 漫画・平松伸二 集英社)

「ドーベルマン刑事」加納錠治ってやつは、決して今はやりの刑事ではない。「現場」で起きている事件に、体当たりで、つまり激熱な拳と44マグナムで挑んでいく。

頭よりも「体」を酷使する、今どきの刑事とは正反対の性格。つまりは、昭和を代表する「マグナム片手の型破り刑事」の一人。

ドーベルマン刑事を取り巻く環境は、過酷そのもの。街へ繰り出せば、銀行強盗から、過激派(時代を感じさせるね!)そして、政府転覆まで。

しゃれたドライブには、暴走族。さらに、旅の目的地には凶悪犯罪者が!

そりゃ、警察物の宿命として、行く先行く先事件が起こるのはわかる。しかし、そいつらが、子どもにさえシャブを売るような鬼畜ぞろい。

もはや、今なら、「子ども心にトラウマなんて言葉では到底追いつけないダメージを残す。」ってんで、絶対にお目にかかれない凶悪残酷描写てんこ盛りな中なので、加納の「拳と鉛」を駆使するアッツイコミュニケーションが成り立つ。

何かと言えば、すぐ44マグナムをぶっ放しているようなイメージがある加納刑事。しかし、彼はクライマックス、一番物語が盛り上がるときでしか発砲しない。ほとんどは拳でカタをつけている。発砲も威嚇射撃しかしない。

そして、銃を抜かずに、犯人の前に立ちふさがることもある。そう、加納という漢は、犯罪撲滅のためなら、心から命を投げ出せる男。

つまり、彼の性格があって、初めて「ブラックホーク」という個性が生きてくる。振り返ってみれば、前述のように、ブラックホークは、戦闘用の銃ではない。

シリンダーが外へ出せない、シングルアクションリボルバーである宿命上、どうしても時代遅れの銃となる。

しかし、ここに、加納の心の叫びが聞こえないか?

「人を殺す道具が、そんなに便利になってたまるかってんでぇ! 」

というわけで、今からでも遅くない。『ドーベルマン刑事』を手に入れよう。

ドーベルマン刑事片手にブラックホークを

いまなら(2019/10/11時点)kindle unlimited でDX版、全14巻を月980円の定額で読めので、それを利用するのもありだ。
月980円で読み放題なので、1ヶ月で読んでしまえば全巻購入の¥10,606と比べても圧倒的に安い。

そして、片手には、マルシンのブラックホークを。

これが、なかなか気合の入った製品。

前述の、ローディングゲートを開けるだけでシリンダーフリーはもちろん、引き金を引かない限り暴発が起きない安全装置も再現。
かっちりとした造形は、まさに「弾の出るモデルガン。」

しかも、その人気を証明するように、マズルブレーキとマウントレールが付いたカスタムモデル『タクティカルホーク』などが発売されている。

もともと『ホークタロン』というカスタムされたブラックホークもリリースしているところからも、マルシンのこの銃にかける意気込みがわかる。

実際、サバイバルゲーム愛好者たちからも、この銃での不利はさんざん嘆かれている。しかし、彼らは口をそろえてこう言うのだ。

「そこがいいんじゃないか!」

弾丸が雨あられと降り注ぐ戦場の中で、火縄銃のような時代遅れが一人いたっていい。そこで、必殺のマグナムをぶち込むのだ。

『ドーベルマン刑事』と言えば『ブラックホーク』

この「昭和の刑事」黄金式は不滅だ!


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