ルパン三世最大のヴィラン!?『魔術師と呼ばれた男』と『ベレッタM1934』

『ルパン三世』である。しかもファーストである。
ノワールでハードボイルドな世界が、当時の子どもたちに直撃したのである。

今でこそ『カウボーイビバップ』のように「お子様お断り」みたいなアニメが、普通のラインナップとして出ているが、あの大槻ケンヂでさえ、「オープニングを母親と一緒に見るのは気まずかった」とそのアダルティさに赤面したという。

ルパンの犯行が初めて世に公開された『ルパンは燃えているか?』に始まり、『さらば愛しの魔女』『殺し屋はブルースを歌う』
洋画、しかもアニメというより、ノワール映画の香りがする傑作は数々上がるが、その中でも『魔術師と呼ばれた男』を傑作に推す人は多いと思う。

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冒頭で、マシンガンを構えた殺し屋たちに、ハチの巣にされる男。
何発も何発も弾を喰らい、殺し屋たちは結果に満足して姿を消す。
誰もいなくなった薄闇の中、しかし男は目を開けて……。

何か、ホラーチックな感じで幕を開ける『魔術師と呼ばれた男』
場面変わって、ルパンと次元はのんびりバカンスを楽しんでいる。
どうも、彼らが振り向いた邸内には不二子がいる。脱ぎ散らかされたランジェリー。そしてシャワーシーン。
そんなけだるい時間への訪問者。
男は、「パイカル」と名乗った。
「客を呼んだ覚えはないぜ!」
「連れていく……。女だ」
奴の狙いは不二子だった。
次元とルパンは愛用の銃を抜いた。銃弾の嵐、それが無礼な客への返事だった。
しかし、それが効かない!? なぜだ、当たっているはずなのに?
奴はルパンに指先を向けた。
指からの火炎放射がルパンを襲った……。

という感じで始まる本作なのだが、こういう感じでガンアクション。そして「空中歩行」さえする魔術師への謎解き。
その間に織り込まれる、交錯する不二子の愛。
パイカル側とも、ルパン側とも言えない不二子の行動が、ひたすら大人の恋愛の渋さを醸し出す。間違いなく1STを代表する名作だろう。

そして、パイカルという男。お酒にちなんだ名前は『名探偵コナン』の「黒の組織」の先取りかよ!? ちゃんと「白乾児」と充てられているのにも、センスを感じる。
で、この男、様々な不思議な技が完備されてて、強いだけではなく、無口で粋なんだわ。
モンキー・パンチ先生自身、かなり彼がお気に入りなようだった。アニメでも「ラオチュウ」(老酒)などいう彼の弟が出てくる予定だったらしい。諸般の都合でボツになったらしいが。
間違いなく、ルパン史上「記憶に残りし強敵」だろう。

彼が「粋」な男である証拠の一つ。
それは、彼が愛用する拳銃が、ベレッタM1934ということ。

第二次世界大戦中の、イタリア軍の公式拳銃。
頑丈だが、真上に排莢する薬莢。180度回転させないと解除できないセフティ。
欠点はいくらでもあるのだが、ざっくりと上部が切り取られたスライド。リボルバーもかくやというくらい美しい曲線で構成されたデザイン。
大戦中にも、手土産に分捕ったM1934を持っていく兵士も少なくなかったという、ファム・フェタルのような魅力が詰まっている。
ジェームズ・ボンドでさえ、PPK/Sに切り替える前に愛用し、上司にPPK/Sを進められた時でも、この銃にこだわったエピソードは有名。

トイガンとしては、今のところウェスタンアームズの出しているガスガンが最高級だろう。

実銃通りの、「銃身を前から押して」という独特の分解方法の再現。
手のひらサイズなのに、撃ちごたえがある反動。そして20+薬室に一発というハイキャパシティ。高い命中精度と、安定した作動。
ウェスタンアームズといえば、この銃に縁があって、モデルガン時代、かの会社を代表する一丁が、ベレッタM1934だった。
フェラーリ、フィアットなど、イタリアンデザインの極致が、この銃にぎゅっと詰め込まれている。
まさに、小粋な魔術師にふさわしい逸品だ。

ただ、イマイチマイナーだ。
現実の激化する銃撃戦に対応するため、どんどん大型オートが進出していき、中型オートは「婦人用の護身用」な目で見られることも多くなった。
古き良き時には、冒険小説、っつたら中型オートだったんだが、それを受けてどんどん大型オートが幅を利かせていった。

そんなことが、イマイチマイナーになっていった白乾児となんとなくダブる。
今のルパンファンに「白乾児」っていっても、きょとんとするだけだろうし、そもそも彼をヴィラン(悪役)として作られたOVAが『生きていた魔術師』一本。

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しかも、声は今は亡き名優。パイロット版ルパン三世「野沢那智」氏!

さらに、知ってる方はおられるかな?
日本アニメの脚本家重鎮、辻真先が書いた『小説ルパン三世』でもさっそうとした活躍を見せている。

魅力的なヒーローは、魅力的な敵役がいてこそ映える。
彼ぐらい魅力的な「好敵手」は、なかなか現れないはずだ。