映画

ポッター・イン・ザ・ハードレイン(銃弾の嵐!)。映画『ガンズ・アキンボ』

ボンクラ映画は好きですか?

「退屈な映画は、人生への考察を促す」のだそうが、そこいらのボンクラそうなお兄ちゃんやおねぇちゃんが、さらに頭悪そうなチンピラやタフガイに絡まれて、「人生最悪だ」と評するトラブルに巻き込まれる。

私はボンクラ映画が大好きだ。

何の芸もない、名探偵並みの閃きも、スタローンみたいなタフな肉体を持たない主人公は、「ボンクラ」な人生を送ってきた私にぴったりフィット。
そんな彼らが、手に余る無理ゲーみたいな、無茶な問題の前に、わき汗冷や汗あぶら汗。いや、血しぶき、最悪ションベンをまき散らしながら、全精力をもって立ち向かう。
その姿は、「人類への挑戦」であり、「我々の希望」すら与えてくれる。

私は、この手の映画は『アドレナリン』シリーズが最高だと思っていた。

しかし、それを軽く塗り替える映画が出てしまった。
『ガンズ・アキンボ』だ。

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「ネット民よ。赤ちゃんの笑顔にいいね。心に響く名言をシェア。だが本当に見たいのは死だ。暴力や戦争のニュースをクリックするのは、自分のクソの人生を、少しはマシと思いたいからだ。拡散しろ!スキズムは、ウイルスだ!」

呪詛のような長セリフから、この映画は始まる。
どうでしょう、この一遍の隙も「人道的」とか「倫理的」とかつけ入るすきもないセリフ!

退廃的。人類の希望とか幸福とか一切なく「感動する」。
今年前半度の「涙を誘う名台詞」No5以内に入る。
この辺から、この映画の展開はなんとなくお察し。

主人公はオタクだ。

喘息スプレーが必須アイテムな、「寝るまで同じ三つのアプリをタップするばかりの人生」を送っている点でもうね。ポジティブなGeekではなく、ネガティブなNerdがピタリハマる。
彼をNerdという名がぴったりくるようならしめているのは、彼のストレス解消法が「荒らし書き込み」
この役、マイルズを演じているのが、ミスター『ハリーポッター』ダニエル・ラドクリフ。

こっちの方がドはまりしているように見受けられるのが、さすがのラドクリフクオリティ。
その日も、パソコン相手にイカれた毒をまき散らしているうちに、他の誰かがかみついてきた。
もう、後はわかる。
売り言葉に買い言葉。炎上しているうちに、割れたIPアドレスから、彼の現在地を特定。
窓辺に立つ「危険な香りがプンプンする世紀末野郎!」
オイオイ。一応プログラマーだろ!? IPアドレスをごまかす方法なんて、いくらでも思いつくんちゃうん。と思うのに、捕まってしまうところなんかからも、おマヌケ感が

ともかくも、書き込みした先が悪かった!開始直後から叩きつけるように始まるカーチェイス+ガンファイトでも察しがつくだろう。
こいつらは、そんな「チンピラ」「クズ」をかき集めて、ローマのコロシアムも真っ青な殺し合いをさせている。
ただ、違うのは、観客が、モニターの前の「一般市民」なこと。もちろん、手にはポテチとビール。

「手をつぶしてやる!」
クリフを前にしていきり立つ世紀末野郎。
しかし、彼らの一人が「それをしのぐ面白いこと」を考え付いた。
意識を失ったマイルズ君の、目覚めた手の先には、固定された二丁拳銃が! シザーマンならぬ、リアル・ガンズ・アキンボだ!
固定の仕方も「DIYでちょっとやってみましたよデヘヘヘヘ」と言わんばかりに、適当にボルト付けした感がぬぐえない!
このおそまつさがイイ!
て、後は最凶な美少女殺し屋とデスゲーム。
24時間以内に勝て。
街(ゲームフィールド)を出たら殺す。
華麗なデスゲームへの花道がかかる!
「両手に銃」を持ちっぱなしの彼は、両手が使えないまま、殺し屋はおろか、警察からもへっぴり腰で逃げ始める。
醜態をさらすことに余念がない彼。ついに恋人さえ拉致されてしまった彼が取った手段とは!

もう、これ見りゃもうね。わかるよね。
後は飛び交う銃弾、血しぶき、薬莢。車舞い踊るカーチェイス!
爆発とそれに伴うジャンプ連打。
それを「ギャグ」でコーティングしているんだが、このセンスが神!
劇中セリフ曰く
「面白情報! 現実の銃声は思ったよりでかい。ランボーも手話で戦うはずだ」
「一息入れて、リラックスして、そしてうんこして。うんこがパンパンに詰まった奴を撃つなんて、最悪だからね。」
エトセトラエトセトラ
他にも。
手が使えないんで、便所でも的を外しまくる
おまわりに助けを求めるが、「両手の銃を捨てろ!」とホールドアップ。
たまたま通りがかったところが、何かの密売取引。伏兵と間違えられてアワワワ。
また、カーチェイスなら、ただバイクで追うだけではなく、実に凝りに凝ったアイディアで満載!
ガンアクション自体も、何かのサウンドクリップみたいに、連続したカット割りと、アングルで魅せる!
載せきれないほどのギャグ+バイオレンスが、まるでグルーヴのように叩きかける!
まるで、一つの音楽だよ!
で、その戦いの中、「人が苦しんでいているのを見て、何が楽しいんだ!」自分がはまっていたネットの闇沼から目覚め、闇組織に挑戦するんだけど、これが、ここまで来るまで、文字通り「死ぬほど」の苦痛を味わっているから、ストンと腑に落ちる。
殺し屋も、なかなか複雑な人間関係の呪縛に落ちている、というところも、盛り上がる!
エンディングも、グッドなんだかバットなんだか、二転三転するオチ。
最後まで視聴者の目を離さない!

語られてるのは『火の鳥 生命編』のような「文明化に伴う人命軽視への警鐘」なのだが、説教臭くないぶん、そして「いたずら書き込み」という、誰にでもできる「リアルな犯罪」を描いている分、こっちの方がするっと頭に入るし、心に刻まれる。

さりげなく名作リスペクト!? などと妄想をぶち上げつつ、やっぱりこの映画は見た方がいい。
2021年度、「あなたが見るべき映画」な一本だ。

もちろん、銃の方も、主人公がわけのわからない45口径のカスタムオート。

東京マルイ ガスブローバック M45A1 ブラック カスタム
ノーブランド品

デザートイーグル

S&WM500

RPGロケットランチャー

バルカン砲

[CAW] M134 ミニガン
CAW

AA-12オートショットガン

その他、盛りだくさん!もう、見た目だけで「こいつバカ映画わかってる」と思わせる派手銃器のオンパレード。
こいつらが、地獄出身の龍みたいに、銃声と空薬莢の咆哮を見せる。それだけでもアドレナリンが沸騰する!

ロケットランチャー、AA-12にしろ「それってそもそも生活にいる?置き場所はどうすんの?」という「オモチャ」なんだが、これ見たら買いたくなる。
きっちりと「ガンマニア」まで楽しませてくれるこの一本。是非とも、あなたの心のフィルム・ライブラリに入れておいて欲しい。