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新しい年を懐かしいゲームで – その2 『天外魔境カレンダー』

さてさて、怒涛のように押しかけている年末。クリスマスに大晦日、元旦という強力なイベントがすし詰め!そして、年の終わり・・・来年の準備とくると、「新しいカレンダー」の出番だっ!

とくに、幼少のみぎり、君の心をつかんで離さなかったレトロゲーム。ゲームをやる時間も手間もかけらんねぇ!という方は、アーラ不思議。ページをめくるだけで、あのころのあっつい思い出が胸にあふれ・・・。

というわけで、前回に引き続き、そのカレンダーをご紹介!

画集ともいえる、これらの美麗イラストを、ちらちらと眺めながら、あわただしい年末を乗り切る、というのも悪くないかも。

相変わらず強引な流れでゴメンナサイ!今回紹介するゲームは、ゲームが一番熱かったころの、90年代のゲームのカレンダー。『天外魔境』から。

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『天外魔境』シリーズについては、もう語るほどもない有名タイトル・・・。って、「えっ?何?それ?」なんて、いまどきの読者は言うかも。だから、ざっと説明しておく。

『天外魔境』シリーズは、架空の日本・・・。外国人から見た『日本』という世界感で統一された昔の日本・・・「ジパング」という架空の日本を舞台にした、ファンタジーRPG。

一番初めの『天外魔境 ZIRIA』は、ゲームマシンとしては初めての、CDロムを使ったRPG。そう、今でこそ当たり前の「ゲームがしゃべる!動く!」というのを初めて確立させたRPGが本作。今までになかったその特徴に加え、ゲームファンに熱狂的に受け入れられた秘密は、何よりもその世界感。それまでは『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』の流れをくんだ、「西洋」のRPGの世界ばっかりだったゲーム界に『東洋』という概念を持ち込んだ。

「売れるから?」「無難だから?」という理由で、「西洋甲冑に身を包み、魔王かドラゴンでも退治してろ。」といわんばかりのRPGに、飽き飽きしていたゲーマーが飛びついたのは言うまでもない。『天外魔境ZIRIA』は、CDロムといういまだかつてない媒体が、「こんなすごいゲームを作れる」という見本作、そして大ヒットとなったのは言うまでもない。

そして、その続編となる『天外魔境Ⅱ』も、発売延期でやきもきしただけあって、PCエンジンのCDロムのスマッシュヒット、ゆえにキラータイトルになった。前回に先駆けて、「30分に一回は、パッドを落とすほど、驚きを起こすイベント。」・・・そう、矢継ぎ早に派手なイベントが起こる。

あるいはまた、敵役にも様々、強烈な個性を持たせている。主人公とともに戦ってくれるカブキと張り合う歌舞伎役者。しかも、彼は独特の美学を持っていて、それで塗りつくされたダンジョンをたっぷりと冒険しなくちゃいけない。あるいは、主人公に何回もリベンジを挑み、敗走するたびにパワーアップして戻ってくるデュークペペは、最後には「愛してるよ!」と叫びながら襲ってくる。

その他にも、はまぐり姫や、三博士、ラスボスのヨミまで、すべての敵でさえいとおしい。そう、性格破綻者たちなのだけど、だけどその中でも、何かしら「自分の正義」「哲学」がある。

さらに、チョイ役の脇役。これも実に味があっていい。例えば、ある女性のメッセージ。
「どんなに悲しくても、腹は減る。女の体ってのはつくづく正直だ・・・。」
名台詞はたくさんあるけど、これだけ挙げても、このゲームの「生命観」奥深さがわかると思う。

凡俗のゲームだと、ただ情報を垂れ流すだけの箱みたいな扱いを受けている一般市民だが、『天外Ⅱ』にはそれがない。脇役でも「人がちゃんと呼吸して生きてる感」は、同じRPGビックタイトルの『MOTHER』を彷彿させる。

名監督、桝田省治の、猥雑なごった煮感のある人々の中から生まれてくる、強い「生きよう!」というメッセージが放たれる「桝田節」も絶好調な『天外魔境Ⅱ』。前作をしのぐヒット・ロングラン作品になった。

特に本作は、ゲームキューブ・プレステ2はもちろん、ニンテンドーDS、プレイステーションポータブルにも移植され、目新しいところでは、パチンコとして登場したのを、懐かしい気持ちで迎えた方もいるだろう。何せ、発売から時を経た、ファミ通1000号の「読者が選ぶ未来に伝えたいゲーム」で、62位に輝いたゲームなのだから。

その後、PCエンジンで。『風雲カブキ伝』スーパーファミコンで、『天外魔境ZERO』セガサターンで『第四の黙示録』。と、順調にプラットフォームを増やしていき、最近でも『天外魔境Ⅲ』、そして、ブラウザゲームの『JIPANG7』と着実に新作が作られ続けている。

ひそかに息が長いゲームだ。

で、紹介するカレンダーも、ものすごく気合が入っている。同人作品なのではあるが・・・、それでも、ピクシブ内でかなりの人気を誇るとか、同人活動で前線大活躍中なかたとか、「天外絵」なら「この絵師!」という方を、よくもここまでと、ため息をつくぐらい取り揃えてある。

何せひと月ごとに、12人の今を時めく「天外絵師」を起用しているのだ。絵柄も、正統の辻野氏(天外魔境キャラデザインの方)進化版から、俺アレンジが入ったポップでかわいい調まで、見ていて飽きない。

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カレンダーという価値を超えて、「画集」、いや、「天外魔境の現在」が、こんな風になっているんだ、ということを示す貴重な一品だと思う。ゲームレジェンド21などのイベント、そして自家通販アリスブックスで入手可能だ。

この21世紀の奇跡(オーバー)をゲットするのも悪くない。

というわけで、前回にから、『天外魔境』と『サムライスピリッツ』から、カレンダーを特集してみたのだが、いかがだったろうか。

特に、この二本。天外魔境なら、「自分たちは、一つのハードの命運をかけてゲームをつからねばならない。」いや、それどころか、「CDロムという、まったく新しいゲームの地平を切り開かねばならない。」という、ギラギラした夢と野望が輝いていた。

サムライスピリッツも同様に、「どう転がるかわからない格闘ゲームというジャンルに、持てるだけ全部夢をつぎ込みたい!」そして何より「幅を利かしているストリートファイターⅡに、なんとかして食らいつきたい。」という野望がぎらついていた。結果として、その気迫が、あれだけプレイヤーを魅了しつくしたのだと思う。

ひるがえって、今、そのような「魂」が感じられるソフトが、どれだけあるだろうか。

などとカタイことを書きました。だけど月がかわり、ページをめくるとき、あるいは夜、一息入れた時に、この美麗イラストを見て、昔の「ゲームの向こうに確かに世界があった」ときを思い出すのも、一興だと思う。 

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