「中折れ式」という快楽 – エンフィールドとその周辺

リボルバーの魅力は、「クラシカルな美学」というものがある。

「マシンガン並に撃てる多弾数オートが幅を利かせる中で、六連発」というか、「やっぱりいちいちシリンダー出して、一発ずつ弾を込める、あの感覚がたまらない。」というか。時代を逆行した魅力が、リボルバーの魅力の一つであると思う。

そんな中でも、特にセピア色な、だけどそこが新しく感じるリボルバーを紹介しよう。

クラシカルなリボルバーと言えば「西部を征服した銃」ピースメーカーという直球王道なものがある。

もちろん「ローディングゲートを開けて、一発一発丹念に排莢・装填」「撃鉄をいちいちあげるファニングの美学」も痛いほどわかるが、今回はもう少しレトロモダン風味で行きたい。

中折れ式リボルバーだ。

物語に登場する中折れ式リボルバー

中折れ式リボルバー、あるいはヒンジフレーム式リボルバーとは、文字通り銃のバレル部分が折れる仕組みになっており、そして弾の排莢、装填ができる。

詳しく言うと、銃身の付け根の真下あたりに、ジョイント部分がある。リアサイト付近にある、止め金を外せば、シリンダーごと前へ折ることができ、自動的に排莢が行われる。西部劇でおなじみのピースメーカーより、少しばかり進化したリボルバーだ。

たぶん、思い浮かべやすいのは、宮崎駿監督の『天空の城 ラピュタ』かもしれない。あれでも、使っている拳銃はほぼ中折れ式だったし、ラストシーン。ムスカ中佐が「三分間だけ待ってやる。」と言って、投降を促す、一番のクライマックス。

実に手慣れた動作で、六発再装填するのは、実に粋だったし、「この人は冷徹な軍人だ」ということを、ひときわ強く印象付けた。

また、他の宮崎作品でも、アニメ版『名探偵ホームズ』。モリアーティ教授とその手下が、してやられたホームズに罵声を浴びせながら、バカボンのおまわりさんの如くバカスカ撃っていたのも覚えているし、ハドソン夫人の活躍中、この銃が颯爽と構えられたことが鮮やかによみがえるかもしれない。

しかし、フレームの強度から「威力の強い弾が使えない」。装填は早いが、機構の複雑さがあだとなり、今はスイング・アウト方式のリボルバーにとって代わられている。

そう、刑事ドラマ、アクションドラマ、果てはゲームまで。

銃本体の横に、シリンダーが振り出され、排莢桿をおして薬莢を排出する。『ルパン三世』次元大介のS&W M19、『シティーハンター』で使われている冴羽獠のコルトパイソンのようなものが、スイング・アウト方式。

現在では完全にすたれた中折れ式。このようなクラシカルな中折れ式リボルバーは、逆に「キャラクターの個性」の演出に一役買っている。

サクラ大戦シリーズのエンフィールド

例えば、『サクラ大戦』シリーズ。帝国華撃団の主力メンバー、マリアは、クールな射撃の名手として知られている。

その知性的で、影のあるクールな美貌。大人の魅力全開な彼女だけど、本当に心を開いたらデレる「ツンデレ」要素も装備!これで、ハートをキャッチされたファンもいるだろう。

漫画、『爆濃おたく先生』シリーズの、徳光康之先生は、自らの本の中で、マリアへの愛情を遺憾なく炸裂させている。

エンフィールドリボルバーの歴史

おっと、話をもどそう。マリアが使っている銃は、エンフィールド改。エンフィールドと言えば、前述の『ホームズ』でも出てきた、1920年代に出てきたイギリス製軍用リボルバー。

改良がくわえられ、エンフィールドNo2まで作られたこの銃で、第二次世界大戦を生き抜いた、イギリスを代表する38口径のリボルバーだ。

しかし、この銃がイギリス軍正式採用になるまでの道筋には、ちょっとしたトラブルがあった。

というのは、紙一重前で採用された、ウェブリー&スコット・No.1Mk.1という銃があるが、このエンフィールドは、口の悪い言い方をすれば、それを丸パクリ。たまらないのが、ウェブリー&スコット社。イギリス政府の依頼を受け、試作品を作っていたところへ「アンタのとこはやめて、エンフィールド正式採用ね。」と言われたんだから、トサカにもくる。

その結果として、ウェブリー&スコット社は、「新型リボルバー開発費全額払え」という訴訟を起こしたが、イギリス政府は「2つの銃は別物」と結論をくだし、退ける。しかし、政府は1200ポンドを同社に払い、結局は、ライセンスを購入したような形になった。というわけで、エンフィールドもウェブリー&スコットも、第二次世界大戦のイギリス・ハンドガンとして見ると、かなり有名だ。

当時、もはやコルトM1911やモーゼル・ミリタリーなど、世が自動拳銃をこぞって採用していたのに、38スペシャル(銃不足のイギリスが、アメリカ軍供給の銃に合わせるため。)という低威力。相変わらずの六連発。という姿勢を取り続けたイギリス。さすがは、どんどん需要の高まってきたサブマシンガンを「イギリスは紳士の国だから、ギャングの武器はいらん。」といってはねのけた国だけはある。

トイガンのエンフィールドリボルバー

で、当時としても「時代遅れ」の中折れ式。この「銃身をぐばぁとおり、華のようにはじき出される薬莢!」の快楽は、やはり自分の手で味わうのが一番だ。

というわけで、モデルガンメーカーの老舗、マルシンから当然発売されている。というか、トイガン界ひっくるめて、今手に入りやすい「中折れ式リボルバー」というと、もうマルシンのエンフィールドしかない。

スナブノーズ(短銃身)のポリスというモデルから、撃鉄があえて手動で起こせない、ダブルアクションオンリーのスターまで、果ては、安価な組み立てキット、と、あなたのかゆいところに手が届かんばかりのラインナップ!

リボルバー好きなら、ぜひとも持っていて欲しいモデルだ。