シティーハンター冴羽獠、そして愛銃 Colt Python 357

往年の名作アニメ、シティーハンターが復活するという。しかもTVアニメ版と同じ声優陣で。

『シティーハンター』そして、その続編『エンジェル・ハート』と、ついに連載開始から30年。それを記念して、徳間書店から『シティーハンター XYZ Edition』が刊行。2015年7月18日から月に二巻ペースで発行される本作は600ページという大ボリュームという話。

そして、作者の北条司氏へのロングインタビュー、全巻描きおろしイラストという、ファンなら垂涎なモノ。それだけにとどまらず、12巻全部を購入した方に、選択可能な特典がつく。その一つに、今回のオリジナルアニメ『僚のプロポーズ』のDVDが入っている。再び「もっこりー」のあの名セリフが、神谷氏の声で味わえるわけだ。

僚のあの「新宿の種馬」として、少しばかり男臭い、いい意味でセクシーな三枚目は、神谷氏のお家芸だ。彼自身「二枚目から三枚目まで、幅広い面を持つ」冴羽僚はお気に入りで、自らの事務所にも、シティーハンターの仮の会社「冴羽商事」と名付けるほど。
ルパン三世とともに、テレビスペシャルとしては、やはり『シティーハンター』のイメージが強い。しかし、最近はルパンばっかり元気があって寂しい思いをしていたファンに取っては、実に16年目の再会となる。

久々の主役をはる「冴羽僚」に、今から期待が膨らむ。アニメのオープニングでも、軽快に火を噴く。そしてあげくの果て、戦闘ヘリまで倒してしまう。僚の愛銃、コルト・パイソン。

しかし、実物のパイソンは、私は一種のアンティークとして見ている。なにせ、1955年に発売されコルトの職人が一丁一丁手作業で調整している。すなわち半世紀も前に設計された銃であるがゆえに基本設計が古い。よく引き合いに出されるのが、S&W社の357マグナム。M586シリーズだ。性能、そしてコスト面では、S&WM586に完全に軍配が上がる。

しかし、性能とコレクターズ・モデルとしての価値は別だ。やはり、まろやかなワインを彷彿させる、グラマラスな美女のようなパイソンは美しい。加えて、散弾銃のような力強いバレルは、一発でパイソンだと分るキャラが立っている。というわけで、シティーハンター。これを見ると、絶対パイソンが欲しくなるオープニングを列挙。

まずはシティーハンター第一部、後半のオープニング『ゴーゴーヘブン』。

盛り上がるギターのサビに、さり気なくワンカット入る僚の指名手配書。そしてその下には、もちろんパイソン。続く軽快なイントロとともに、彼を取り巻く洒落たな小道具のワンシーンが挿入され。そして、歌詞が始まるとともに、それに合わせたように迫力ある発砲シーンが。リズムに合わせて演出されるこのシーンは、まるで踊るように軽快。シティボーイらしい軽快さと、357マグナムといういかにも野性的なものが同居する、まさに「僚」のイメージのプロモーション・ビデオだ。

特に、フレーズの盛り上がりに合わせて、シリンダーから排莢されるシーン。実際に、スローモーションで、光の粒をまき散らしながら、地面に踊るように転がる金色の薬莢。これで、リボルバーに心を鷲掴みされた方も多いのでは?

第二に『シティーハンター 2』の前半のオープニング。プレイステーションで大ヒットした音ゲーの先駆け。その音楽を担当した松浦雅也が加入しているバンド「PSY・S」が送り出した『Angle Night 天使のいる場所』。

曲のラストに向けて、息もつかせぬほど盛り上がったところ。そこへ一人歩く僚の後ろから、まるでジョーズのようにぬっと姿をあらわすヘリ。激しいヘリからの銃撃が、僚に炸裂。しかし、それをものともせず、マグナムを抜いて、一発!回りこむカメラワークで描かれる発砲シーン。そして、時代劇を彷彿させる、「一瞬にしてすれ違う」ヘリと僚の姿が、一瞬の停止絵として描かれるのが対照的。そして、鮮やかなガンスピンでパイソンをホルスターに収めると同時に、はるか上空に上がったヘリが爆発。

まるで、時代劇の殺陣、のようなケレン味にあふれる一瞬。斬鉄剣のように、「攻撃した後」一瞬の間をおいて、倒れる敵。

うん「357マグナムでヘリは落とせない。」「そもそもどうして撃たれたらすぐ爆発しないの?」「うん。それはね。スタッフがあんまり銃器に詳しくなくって、なにせリボルバーにサイレンサーをつけても効果ないのに、わざわざつけていたくらいだから。」など、野暮なツッコミを入れてはいけない。いや、そのツッコミさえも吹き飛ばしてしまうかっこよさが爆発している。

そして、やっぱりパイソンの魅力たっぷりといえば『シティーハンター3』のオープニング。

TMネットワークの重鎮、そしてヒットメーカーのアーティスト、小室哲哉が送る『RUNNING TO HORIZON』その軽快なコーラスとともに、真っ暗闇から何か扉が開く。何かな? と思ってみてみると、それは冷蔵庫の扉。ビールを取り出して、ぷはーっとやると、一枚のメモ用紙。そこには、パートナーの香の手でこう書かれている。「飲み過ぎ注意」と。

と、こんな小粋な演出から始まるオープニング。しかし息つく暇もなく、次の瞬間、場面が切り替わって戦闘ヘリに追われる香が。という具合に、それを知らない僚のリラックス加減と、一方その頃、香が生死をかけて逃げまわっている。静と動の対比がいい。たたみかけるようなアクションシーン。実によく動いて、見ているだけで爽快。

そして、窓ガラスを突き破って突っ込んでくる香を受けて、一瞬「な、何かあったの?」ときょとんとする僚に、ヘリからの銃弾のシャワーが。慌てふためく僚と香。しがみつく香を何とかふりほどこうとするのが、実にコミカル。しかし、一回転して部屋の隅に転がり込む僚の手には、パイソンが。

一瞬、カットインするパイソン。生活感ある小道具の中に、拳銃が溶け込んでいるのが、いかにもな雰囲気。で、口にくわえられたマグナム弾。日本刀の鯉口を切るような音とともにマグナムが装填され、激しい銃弾の暴風の中、仁王立ちでヘリを一発で沈める!これぞ『シティーハンター』という感じ。そう、このちょっとコメディだけども、シリアスなところはバッチリ決める。それが『シティーハンター』ではないだろうか?

そう、シティーハンターといえば、小室哲哉といえば、やっぱりTMネットワークだろう。

モノクロの演出が渋い、シティーハンター第一部のエンディング『Get Wild』まるで、僚の内面をそっと告白するような『Still love Her』など。80年台後半を代表するヒット作を連発していたTMネットワーク。先ほど上げたPSY・Sとともに、時代の風を象徴していたアーティストが楽曲を提供しているのも、シティーハンターの魅力。

彼の庭である新宿も、当時と今とではかなり変わってしまった。だからこそTMネットワークに今ひたろう。懐かしい「僚」がいたあの時代にタイムスリップと洒落込むのもいいかもしれない。というわけで、シティーハンターのオープニング、そして、テーマについて、つれづれと綴った。

しかし、シティーハンターはあくまで「銃」のみにあらず。『SUPER GIRL』『熱くなれたら』など、僚と香の関係をしっとりと歌いあげるように描いた名作ぞろいだ。今聞いたら、すこしダサく感じる方もおられるかもしれない。しかし、それさえもスタイリッシュな懐かしさと化すのは、シティーハンターマジックだ。最後に、パイソンといえばこの回。

独断と偏見で上げてしまうが、『シティーハンター2』最終回、『さらばハードボイルドシティ』は必見。

まだ見ていない方のために、大筋は省く。しかし、そのラストシーン。やっぱり危機的状況なのに、弾丸は一発。かくいうシチュエーションが、いやが上にも雰囲気を高めるのに、あの劇的な告白。そして、覆いかぶさるように、『シティーハンター』の顔『Get Wild』の静かなサビがかかってくる。涙腺を揺さぶるどころか、トドメを指すような演出の連発!たった一発の銃弾なのにここまで重いとは。

ネットでも『神回』と謳われるこの回。アニメのオリジナルストーリーなので、原作を読み尽くした方にも、自信をもって紹介できるエピソードだ。気になる方は、ぜひともDVDを。

そして、パイソンが欲しくなったら、東京マルイのパイソンがおすすめだ。劇中みたいに、カートリッジは取り出せないが、そのかわりに24連射、高い命中精度が味わえる。二回にわたってリニューアルされている、さすが東京マルイと思わせる名作。

いや!俺はどうしてもスウィング・アウトして薬莢が飛び出す快楽に浸りたい!そもそも東京マルイのは軽いしディティールが甘い! というこだわりの方は、あえてモデルガンに手を出すって手もある。なにせ今売っているパイソンのガスガンは、すべてカートリッジは取り出せないケースレス式なので。

特に、最高峰なのはコクサイのパイソンだ。排莢はもちろん、実物をリアルに再現したメカ。おまけに総金属製の肌は、プラスティックな外観とは何よりも違う。そのひんやりとした感覚と、パイソンのトイガンひっくるめてNo1の重さは、あなたに新しい風をもたらしてくれるはず。ただ、あまりにもリアルにパイソンのメカニズムを再現したため、安全対策で脆い金属で作ってあるかの作品は、少々壊れやすく観賞用といった意味合いが強い。

拳銃は撃ってなんぼ!という方は、タナカのモデルガンもおすすめだ。樹脂製だがねばりがある強化プラスティックなので、比較的タフ。ガスガンもいいが、撃った後にBB弾が散らばらないモデルガンもいいものです。

これら片手に、ぜひ豊かな『シティーハンター』ライフを!