地獄から復活したマッドマックス。その愛車、インターセプターV8

2015年、時はまさに世紀末!そして奴が帰ってきた。すべての世紀末伝説は、ここから始まった。

マッドマックス 怒りのデスロード

『マッドマックス』もはや説明不要だろう、情け無用の世紀末。すべてを失った怒りを、その非情なる世界に叩きつけて、たった一人で戦った男。

そう、大戦争後、文明破壊の後の世界を描いた金字塔だ。荒れ果てた一面の荒野。いつ止むともわからない、ならず者の暴力のハードレインが振り続ける中、限りなく強い英雄がやってくる。

というような内容、伝統芸能と化した「アフター・アポカリプス」の金字塔映画。

その影響は、映像不可能と言われつつ、アニメ化もされ時の流行語にもなった「あべし!」を生み出した『北斗の拳』。世界の大友克洋監督が放った、ジャパニメーションを代表する『AKIRA』。

すべての始まりな『マッドマックス』

その怒りは常に弱者の盾となり、一銭の得にもならない、いや、自分が死ぬかもしれない大変危険な賭けに、マックスを赴かせる。我々は「自分以外みんな敵の中でも、ここまで人は強くなれるんだ。」ということを、マックスの背中で教えてもらった。そんな80年代の黄金潮流が、新作映画で蘇った。それが『マッドマックス 怒りのデスロード』。

監督は1作目からメガホンを撮ってきた、ジョージ・ミラー。本作で一躍スターになったメル・ギブソンに変わり、新世代マックスにはトム・ハーディ。予告編から「これぞマッドマックス」オーラが漂う本作。

軟弱なCGなど使わず、全編生身のスタントが炸裂するこの「マッド」っぷり。『ベイブ』『ハッピーフィート』など、快ヒットを飛ばしてきた名監督が、36年そのすべてを惜しげも無くつぎ込んだ『マッドマックス』最新作。今回はかの作品の中でも「イコン」となる、第二のテーマ。「車」にスポットを当てていきたい。

ブラック・パーシュート・カスタム、人呼んでインターセプターV8

『マッドマックス』といえば、やはり車。本当に交通事故が起きているとしか思えないくらい車が宙を舞い、そして大破する。しかも、2以降では車の面構えもガラリと変わる。

マッスルカーが突然変異を起こして、クトゥルフ神話の怪物みたいになったように凶悪な、かつ唯一無二のデザインをしている車。しかし、そんな個性的すぎる車の中でやはり一番印象に残る車といえば。

She is the last V8.

正式名称、「ブラック・パーシュート・カスタム」、人呼んで「インターセプターV8」マックスの相棒だ。新しくカスタムされたコレの前で、マックスがまるで新しいおもちゃを見せられた子どものように。あるいは、荘厳なオーケストラの曲に耳を傾けるように、エンジン音に耳をすませる表情が忘れられない。

フォード・ファルコン・XBクーペの無駄ないフォルムに漆黒の塗装。ボンネットから突き出るむき出しのスーパーチャージャーはこの車の最大の特徴。ある種の不気味さとともに、激しい威圧感さえ与える。まさに、「インターセプター」=「迎撃機」の名にふさわしい。

実際、妻子を殺されて復讐の鬼と化したマックスが、暴走族の車、バイクに、無言でこれをぶつけまくるのは、鬼気迫る姿がある。まさしく魚雷というか、走る兵器といった趣すらある。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、『ナイトライダー』のナイト2000とともに、スクリーンの名車の一つにあげられるだろう。

モデルカーのインターセプターV8

これを見て「将来、レバー先についてる赤いボタンを押したい!」と思った方もおられるだろう。「猛り狂う獣のように唸るスーパーチャージャー、タイヤがいい声で泣くとともに、トルネードのように巻き起こる砂塵が味わいたい!」と今も思っている方もおられるだろう。

実際にレプリカを作って所持されている方もいる。日本でも、マッドマックスのファンの集いなどで、ズラリと並ぶインターセプターは、ただ圧巻という言葉しかない。

しかし、実車を手に入れようとすると、400万から700万飛んでしまう!加えて、輸入代やら車検、メンテの問題で更に費用は増大!大体、車庫はどうするんだ!?というわけで、ここはひとつ、サイフにもスペースにも優しいモデルカーで我慢しよう。

1/18のスケールゆえのディティール、オートアート製品

さて、モデルカー完成品でインターセプターV8を手に入れたいとなると、筆頭に挙がるのがオートアートの製品だろう。オートアートと言うのは、1988年の登場以来、メキメキと頭角を現してきたミニチュアカーメーカーだ。リーズナブルな値段と、それに見合わぬハイ・クオリティな造形で、今や30国以上を販売市場に抑える。精密ミニカーの名門、CMCや京商と並ぶブランドだ。

で、1/43とも1/18スケールが出ている。

デスクトップに、ちょいワル気分で飾るのなら1/43スケール。そしてなんと嬉しい事に、激しいカーチェイスを繰り広げた敵車までついてくる。エネミーカーがモデル化されるのも初めてだ。

オートアートは、こういうおまけも気合が入っていて嬉しい。卓上で、マッドマックス名物のカーチェイスがいくらでも再現できる!ちろん卓上であれば暴走も合法だ。だけど、ここではあえてビックスケールな1/18を押したい。

そして2017年7月31日にはまた新たなモデルが発売される。旧版はプレミアがついて手に入りづらい今、こちらを予約することをおすすめする。

日本のプラモデルといえば1/24スケールが代表的。例えば、そういう版権物が得意なプラモメーカー、アオシマのプラモデルがある。マックスの相棒の犬、ザ・ドッグがついていたり、ドッグフードがペーパークラフトでついていたりするバージョンもある、かなり気合が入ったものだ。

コレも1/24だ。いかにも見慣れた、日本人サイズの1/24。両手のひらに乗るサイズは、可愛らしさに似た安心感を与える。しかし、海を超えたアメリカ、ヨーロッパでは1/18サイズが標準。手のひらからあまりあるサイズ。もともと、インターセプターの魅力は、マッスルカーの文字が似合いすぎるほどのマッチョモンスター感。だから、デカいほうがこの車の迫力にしっくり来る。

オートアートのモデルは大スケールのおかげで、細部まで細かい表現ができる、という利点がある。例えば、シフトレバーにくっついている、赤いボタン。劇中では、これを押すと、スーパーチャージャーが600馬力の唸りを上げるというわけだ。「ガソリンに飢える世紀末」を象徴するかのように、トランクフードなんか取っ払われ、巨大なガソリンタンクも再現。もちろんボンネット、ドアも可動。中から覗くスーパーチャージャーや、コックピットのディティールは、精密の一言。実車をスモールライトで小さくしたといってもおかしくないくらいだ。

そして、裏をのぞいてみると、車体後部に覗く銀色の装置。そう、マッドマックス、後半のクライマックスのワンシーンに使われた自爆装置だ。ここまでついてくるとは、嬉しいかぎり。また、おまけも充実しているのも見逃せない。スペアタイヤ、ジェリカンは、トランクルームに自在に配置できる。マチェットもドアの横に仕込むことができる。劇中で、マックスも食していた、あのドックフードでさえ再現。

愛らしい犬と、ロゴの「Dinkidi」まで再現。おまけに、それを収めるカートンのダンボール箱まで付属。そして、マックスの相棒である犬『The dog』のフィギュアもある!ドアに付いている、彼専用のシートもしっかりと再現。さらにはオス犬のシンボルまできちんと再現してあるところは、さすがオートアートとしか言いようがない。

しかも、嬉しい事に、少しずつバージョンアップもされ、汚し塗装までされているバージョンまで用意されている。やはり、『マッドマックス』は、泣く子も黙る世紀末伝説なのだから、ピッカピカの新車同然だと。。。とうい方にぴったりだ。

ただ、付属の小物がバージョンによって違うので、その辺は注意してほしい。

加えて、どうしても気に食わない、って方は、改造するという手もある。実際に、ネット上でも、愛車に手を加えている方も見かける。それのベースは、やっぱりオートアートの車が少なくない。もともとが、マッドマックスの車なんて「俺イズム」の塊!あなたの手を加えて、世界で一つだけのインターセプターをつくり上げるのも悪くない。

車は動いてこそ、京商ミニッツ

でも「見るお飾り車なんて興味ない、車は動いてこそ!」という方。それならば、やはり京商のミニッツをおすすめする。もちろん、ちゃんと出ている。インターセプターのボディは!

ミニッツというのは、「タミヤ」と双璧をなすラジコンメーカー「京商」が、その技術を惜しげも無くつぎ込んで作り上げた、手のひらサイズのラジコンだ。

他のラジコンが、価格の高さ、そして、ボディの大きさが敷居となっているところ、ミニッツは、その小ささゆえ、どこでも気軽に楽しめ、加えて、本格ホビーラジコンと同じ、「送信機の舵、アクセルを踏み込んだけ、ラジコンカーの方もそれに比例して動く」方式をとっている。加えて改造パーツも豊富。と来れば、ヒットしないわけがない。

京商の現在の主力商品になっているミニッツ。そしてもう一つの売りが、豊富なボディが用意されている、ということ。そう、ミニッツのシャーシーの長さは調整できるので、自由にボディを換装できる。そして、そのボディの中に、我らが「インターセプターV8」も含まれている。

で、ボディの発売元は、スカイネットだが、これはプラモメーカーのアオシマ。前述したメーカーのアオシマだ。で、気合の入ったインターセプターのプラモを出しているだけあって、その完成度はバッチリ!しかも、ボディ単体でも、タイヤ付きシャーシー、台座。そして飾り用ケースに入れられて来るんだから、モデルカーとして十分楽しめる。

くわえて、ドリフト専用のシャーシーを用意すれば、こちらが満足するほど、ケツを振りまくってくれる!もちろん合法です!動くインターセプターの決定版だ。

マッドマックスのインスパイア!?世紀末感漂う「マッドポリス」

と、いろいろインターセプターV8のモデルカーを紐解いて来たが、「なんか物足りねぇ!これじゃ俺の世紀末に荒ぶる魂がおさまんねぇ!」みたいな方。トドメにこんなもののお話をしよう。

フジミのプラモデル『マッドポリス』シリーズだ。

「マッドポリス!?聞いたことがないぞ!」そう、カンのいいかたならピピンと来たかと思う。限りなくグレーゾーンだが、れっきとした「オリジナル」だ!

自社のプラモのラインナップ「トランザム」や「レパード」に、マッドマックス風の装甲。さらには、銃火器満載の激重デコでコーディネートされている、いかにもな車。実際『ガンダム』を『ガンガル』と間違えて躊躇なく購入するお子様。当然、コレにも群がった。

それにしても、『マッドポリス』のラインナップに、そのままズバリ「インターセプター」って名の車があるのはどうよ?で、舞台背景を箱の横の説明から読み解く。

「機動力のある車があんなに強いとは思わなかった。とにかくこちらの照準器に入らないんだ。」

米軍の一戦車兵の話である。米軍基地を占領したクレージーエンジェル(暴走族連合)は豊富な武器を利用してチューンナップカーを重武装化し、ダイナマイト・バスター(高速戦闘車)を持つに至った。戦車並みの装備にレーシングカー並の性能を持つ彼等の車はまさに強く、米軍と自衛隊の戦闘車輛ではとても歯が立たなかった。

そこで高速パトカーを多数持つ警察がパトカーを改良、クレージーエンジェル対策スペシァルチームとして生まれたのが、マッドポリスである。

「砲塔回せ、早く!」

61式中戦車の中で戦車長が叫んだ。着弾音が車内に響く。

「だめだ、ダイナマイト・バスター(高速戦闘車)に追いつけない!」

「撃たれるぞ!」

戦車長が2台の敵をテレスコープの中に見た時だった!突然先頭の車の一台のフロントが横に吹飛んだ。続いて壊れたビルの影からスーパーチャージャーの音とともにバイオレットの車が飛び出した。

「助かった!ビーナスだ」

交差点を100km/hを超えるスピードで4輪ドリフトさせながら残りの1台を追う。敵の一台がバズーカを発射したが、お互いのスピードが早いので外れ、ビルの一角で爆発が起きる。一瞬追いついたかに見えた時、大音響とともに敵は爆発した。ガトリング銃が命中したのだ。

いかがだろうか。この情け無用さといい、吹き荒れる暴力の嵐といい。「クレージーエンジェル」「ダイナマイト・バスター」「戦車とタメをはるレーシングカー」などど、マッドマックス浪人の心揺さぶるステキフレーズの連発。文体が少々カオスなのが、相乗効果を醸し出す。

また、設定も細かいところが私の中二病な部分ををがっちりキャッチ。チタン合金で覆われたボディ。スーパーインジェクション付きエンジンはMP型7700CC。とどめに、最高速度は測定不能なところが実に分かっている。

さらに、箱絵には少し泥臭く、リアル路線で描かれた車がいかにも80年代に作られた映画風のテイストを醸し出している。砂埃、すすが似合う重装甲車に、仁王立ちして、ヘビーマシンガン・バズーカ。対人用には明らかにオーバーキルなウェポンを構える姿が、なんとも頼もしい。

バックはもちろん赤い夕陽だ!中身もちゃんと銃火器を構えたフィギュアがついてくるし、弾痕のデカールまでついてくる。なにげに細かい仕様が嬉しい。

ヒット映画が出れば、「柳の下のどじょう」二番煎じがころころ出てくるのは、人の世の宿命。そりゃ、冒頭一秒で「こりゃだめだ。」としか言いようのないものもあった。しかし、マッドマックス、そしてそれに続くアフター・アポカリプスを描いた一連の物語の中には、間違いなく、黄金の奔流がきらめいていたはずだ。怒涛のように。そして、荒野を生き抜く救世主伝説。無謀にさえ見える男たちの傍らには、世界にたったひとつの「俺のマシン」があった。

密かにマッドマックスを目指す我々、いや、「目指していた」方でも構わない。傍らにそびえる無骨な俺の相棒。あなたの生活に、無限の夢。赤く染まる荒野の地平線のアイコンがあるというのも、いいかもしれない。


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