手の中でよみがえる記憶。あぶない刑事、鷹山の銃 – S&W M586

始まりは1986年のTVドラマ『あぶない刑事』。そして1988年の『もっとあぶない刑事』。その後次々新作が作られ、劇場版は2005年の『まだまだあぶない刑事』で6作。

そして、2016年の映画で『さらば、あぶない刑事』で7作。1980年代後半にノベライズ版を回し読み、図書館のぼろぼろになった『あぶない刑事』のムックを読み、そして「タカ!タカ!ウェイクアップ!」と物まねをしたりした、あの物語がついに最終回に。

名残は惜しいが、その勢いを、今回はぶつけてみる。

『あぶ刑事』と言ったら、やっぱりコルト・ローマンと、S&WM586だろう。双方とも、第一期のTVシリーズ『あぶない刑事』そして、劇場版『あぶない刑事』で、タカ&ユージの手に輝いていた名銃。

語ることも多々あるので、今回はM586のお話を。

KフレームのM19、LフレームのM586

S&WM586は、S&W社の今現在を代表するリボルバー。次元でおなじみ、前作のM19が、357マグナムを撃つには強度不足。というわけで、一回り大きい、357マグナム用のLフレームを開発、装備。

M19は、あくまで38スペシャル用、たまに357マグナムも撃てるという位置づけだったのに対し、Lフレームは357マグナムを比較的多用できる。最初からマグナム専用として作られたM586は、M19譲りの調整可能なリアサイト、M19の弱点であった、「撃ちすぎると根元が割れてしまう」バレルを、銃身が二つくっついているようなアンダーウェイトつきヘビーバレルに改装。強度を上げるとともに、反動を抑え、撃ちやすくしている。

結果として、先に出されたコルト社のパイソンと似たような形になったが、中身は段違い。現代用リボルバーとして、引き金を引くだけで発射できるダブルアクションに力を入れ、そのスムーズさは、パイソンとは全然違う。

また、精度は工場が直接手を入れたカスタムに近いものをたたき出すという。そして、ステンレス仕上げのM686は、比較的錆などが出にくい。メンテナンスが面倒くさい、という方にもってこいだ。実際に、某銃雑誌で、「今後残したい、いや、生き残るリボルバー」として、357マグナム代表のこれを上げられたのは、納得。

今や、今はやりの、多弾数リボルバーM686プラスとして、7連発になったり、S&W社が直接カスタムを手掛けているシリーズ「パフォーマンス・センター」のベースとなったり、S&Wのホームページでは、これにお目にかからない方が難しい。

M586のモデルガンとトイガン

もっともイキがいいS&W社の357マグナムリボルバー。それがM586シリーズだ。実際、こんな名銃を、トイガンメーカーがほっとくわけなく、マルシンから、M586のモデルガンが出ている。あるいは、MGCからはモデルガン、そして、なんと東京マルイからもトイガンが出ていたが、これらは絶版。なので、現在入手できて、もっとも実銃に近い、マルシンのM586から話を進める。

マルシンのM586は、出た当初から、ガンマニアからの評価は高かった。力強く、パイソンに比べるとスリムで都会的なイメージのフォルム。そして、あらんかぎりの力で、本物に似せたメカニズム。ちょっと、発火の不発に対する調整をしなければならないけど、まともに遊べるM586は、これしかなかった。しかも、それがなかなか高クオリティなのだ!これで喜ばないガンマニアはいない。実際に、今でも現役で売られている。買ったその時から、すぐに楽しめる完成品と、安価で組み立て工程が楽しいキットの二本立て。

6インチと4インチがあるが、あぶ刑事ファンならやっぱり4インチだろう。木製グリップがハナからついているモデルもあるが、ここはやはり、劇中のデイビス社のラバーグリップを付けて、なり切りたいところだ。

モデルガンの巨頭、MGCのM586シリーズも押したいところたが、残念ながら今は絶版。弾が出ない「大人の遊び」モデルガン派なら、これしかない至高の一品だ。

でも、俺はBB弾が出るエアガンが欲しい、という方。安心してほしい。マルシンが、ガスリボルバーM586、ステンレスバージョンM686の双方を出している。しかも、カート弾頭が実弾を彷彿させる、最新Xカートリッジ式だ。ちゃんとシリンダー開けて六発込めて・・・という儀式ができるのは、ファンにとってうれしいところ。

あぶ刑事で使われていた、デイビスのラバーグリップのイメージを崩さない、特製グリップがデフォルトでついてくるのもうれしい。90年代にガスリボルバーが出されて、そのまま絶版になっていたのをリメイクしてくれたところは、さすがマルシン。ファンを大切にする。

実物、モデルガンと違い、すこしフレームが長かったり、サイトの下部にフレームのねじがあったりするのはご愛嬌。実射性能も、確かにペガサスシステムや、マルイの24連射式など、最新式の多弾数リボルバーに比べて劣る。それを弱点と見るか、それとも、弾の出る「モデルガン」として割り切るか。なんやかんやいって、やはりリアルなM586で、弾をがちゃがちゃやるのは、面白い。

また、クラウンモデルから、エア・ガス双方でM586シリーズは出ている。
エアコッキング方式は、グリップ内のエアタンクをコッキングするため、いちいち撃鉄を起こして撃たなきゃいけない。18歳以上のものと、10歳以上のものがある。要するに威力が違う、らしい。しかし、どうせ、威力は弱いのだから、あえてスプリングが弱い=撃鉄を起こしやすい10歳以上用のモノを買うのも一つの手だ。

また、クラウンのガスリボルバー、M586シリーズも隠れた逸品だ。全体的に、ディティールが甘い。プラ丸出しの地肌に、てかてかコーティングされすぎた、いかにもコーティング加工で木目を再現してみました、というグリップ。カートも、マグナムというか、9mmパラベラム並に短い。エジェクターも、フルには稼働しなくて、一センチほどしか出ない。まぁ、本物なら、パンパンに広がった薬莢を、力いっぱいエジェクターロッドをぶったたいて、まさにはじき出す必要があるのだが、エアガンなら、逆さにしただけで空薬莢は宙に舞う。エジェクターは、あくまで雰囲気の演出だ。

と、外見に対しては、マルシンのものとだいぶ見劣りするクラウンのガスM586だが、性能はマルシンとためをはる。比較的素直なホップのおかげで、けっこう飛距離があるし、よく当たる。しかも、ネット、ディスカウントショップで、新品がマルシンの半額で売られている、というのもいい。

ガスリボルバーというのは、けっこう故障も多い。うちのマルシンの44マグナムは、二代目だし、チーフスペシャルは、もう三代目だ。つまり、悪い言い方をすれば「すぐに壊れるもの」に、一万以上つぎ込む覚悟はあるだろうか、ということだ。その点、クラウンのモデルは、比較的リーズナブルだ。

グリップが交換できないので、タカ仕様にするには、グリップ加工の技術がなければならないけど、「とにかくなり切りグッズが欲しい。」という方。そして、リボルバー初心者には、手放しでお勧めするモデルだ。

しかし、現在では、ほぼマルシン一社しか出してないM586。日本では、そう知名度はない。『あぶない刑事』があって、初めてその存在を知った、という方もいるだろう。

今まで語ったように、銃器関係者の間では、M586の評価は高い。「S&Wの最高傑作」と評する方もいるくらいだし、某銃器雑誌の読者欄で「シティハンターはなぜ性能的に劣るパイソンを捨て、M586に移行しないのか。」という論争もあった。しかし、日本で見かけるトイガンのリボルバー。しかも、357マグナムと言えば、パイソンとM19ばかりの感が否めない。

ちょっと話がずれるが、やはりマグナムリボルバー。しかも、手になじむほど良い大きさで、なおかつ頼りがいがある357マグナムのリボルバーは、けっこうラインナップが少ないのではないか。モデルガンでは、かつて、ルガーのスピードシックス、コルト・トルーパー。コルト・ローマンに、コルト・キングコブラ。けっこうラインナップは豊富だったが・・・。

しかし、映画『ダーティハリー』のおかげで、44マグナムの知名度が上がったように、M586も、だんだんと知られていたのは、やはり、「あぶない刑事」のおかげだろう。

というわけで、どのメーカーでもいい。M586を手に入れよう。そして、あぶない刑事のテーマを口ずさみながら、振り向きざまに発砲!もちろん、左手は胸元近くに引くタカさんスタイルで!やたら甲高いあぶ刑事発砲音は、心で、いや、実際に口で、心の底から叫べば、もう、あなたは港署刑事だ!

もちろん、適当な友達を捕まえて「ユージ」を連射しても全然オッケー!合法です。なんせ、プリティ町田こと、トオルさえも、タカさんのお古のM586を譲ってもらって、劇中で使用している、という歴史の(!?)ある銃なのだ!心行くまで、あぶ刑事の世界に浸ってほしい。