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次元大介の愛銃S&W M19 – 実用一点張りの格好良さ

世界最高のNo2と言えば、世界一の怪盗、『ルパン三世』の相棒、次元だろう。

2014年に公開され、話題を呼んだ実写映画『ルパン三世』。2023年末にはそのスピンオフとして、「ルパン三世」ではなく「次元大介」が主役で帰ってきた。

タイトルからして『次元大介』

 

近年では、次元主役の話は、2014年の劇場版アニメ『次元大介の墓標』

 
2019年のTVスペシャル『グッバイ・パートナー』

 
そして、記憶に新しいだろう、2021年のTVシリーズPART6のエピソード0で、小林清志氏から大塚明夫氏へのバトンタッチとなった『時代』まで。

 
ファンにはウレシイ次元ラッシュだ。

こう「次元」フィーバーが高まってくると、彼の愛銃も手に取って「身も心も」次元、になりきってみたくなるもの。そこで、「世界最高のナンバー2」次元大介が使っているS&W M19について語ろう。

S&W M19とは

S&W M19といえば、リボルバーの名門、スミスアンドウエッソン社を代表する357マグナム・リボルバーだ。

M19の人気は根強く、一時は廃盤になっていたが、2014年から、そのステンレスモデルのM66が、小改良をくわえられ、再びラインナップへ加わっている。この事実からも、M19の人気、実力のほどがうかがえる。

 
同社の357マグナムの最高峰と言われるのは、M586系統だ。

 
しかし、やはりM19シリーズの一回り小さい感も捨てがたく、実際に持ち運ぶのだったら、M19シリーズだろう。

 
M586が採用している銃の骨格…フレームのサイズは、Lフレームと呼ばれるもので、M19が採用しているKフレームよりも一回り大きい。357マグナムを撃つ、その専用に開発されたLフレームは、確かにM19の弱点である強度を補っている。命中精度も、カスタム並だ。

しかし、実際にこれを持つのは拳銃稼業…ガンマンまでとはいかないが、警察官のように、四六時中、これを持ち歩く必要にかられている稼業だ。

となると、少しでも軽く、小さくしたいというのは、当然の流れだ。

さすが当時のコンバット・シューティングの一人者、ビル・ジョーダンがコンセプトを作った銃、M19。この携帯性にしても「銃というのは、いつも肌身離さずにおいておくものだ。」という、ガンスリンガー、そして、ポリスコンバットの精神が生きている。

しかも、スタンダードな38スペシャル弾と、強力な357マグナム弾が使える。

低反動、低価格な38スペシャルメインに使い、たまに「ドアごとぶち抜く」と言うとかのシチューエーション時にマグナムの出番となる。

サイトは可変式で、狙いやすさに重点を置いている。

映画とドラマと現実のM19

M19は80年代、アメリカンパトロールなら同時代の日本の警察のニューナンブ並に普及していた銃だ。

だから、実はアメリカの映画、ドラマに・・・特に刑事ものならば、必ずと言っていいほど出ている。日本の警察の定番のニューナンブが主役にふさわしい銃だろうか? あまりにも頻出するので、かなり目立たない。そう、そこらの通行人警官Aが持っているような銃だ。

映画、リーサル・ウェポンで、主役のリッグスが、相棒のマータフが持つ、この銃について「古い銃だな。」とこき下ろしていたシーンが印象深い。
また、マータフ自身も、派手に撃ってくる悪党に反撃をしろと言われ。「六連発に無茶言わすな! 」と返したシーンも記憶に残る。

 
そう、80年代では、必要十分な機能を持っていたマグナム・リボルバーも、多弾数オート、そしてマシンガンで武装している最近の凶悪犯罪者には、歯が立たなくなってきたのだ。

しかし、そんな必要がないところや、平和なところの法執行機関は、いまだにM19を使っているし、何よりも海上保安庁が使っている、ということで、いかにこの銃が信頼されているか、分かるだろう。

ビル・ジョーダンの提案した、小柄なKフレームでマグナムが撃てるリボルバー、リボルバーのウルトラスタンダード、S&W M10を強化した確実・堅牢な動きは、まさにリボルバーのお手本と言ったところだ。

しかし、あまりにも実用性一点張りに作られた、撃つ事務用品のような本銃は、もちろん日本のいろいろなメディアにも出てきているが、いまいちぱっとしない。

すべてのリボルバーのお手本となる、ということは、裏を返せばありふれているということ。地味なのだ。

地味な銃 M19 と名ガンマン次元大介

しかしこの地味な銃も、この男の手の中に握られると名銃の輝きを取り戻す。
その男の名は、ルパン三世の相棒、次元大介。

 
2023年の実写版の前にも次元大介の墓標で主役にもなった。

次元と言えばマグナム。次元のマグナムと言えばM19。まさに、右腕のように、次元とは切っても切れない仲にある。

派手だけど汎用性に乏しい44マグナムや、けれんみの強いコルト・パイソンというチョイスをせずに、38スペシャルと357マグナムを使い分けることができ、なおかつダブルアクションの性能にバトル・プルーフもあるこの銃を選んだのは、次元らしい「渋い」チョイスだ。

そう、次元という男は、五右エ門並ではないが、黙して語らないタイプの男。ルパンのように軽妙なおしゃべりを武器とせず、「男は黙って・・・。」というのを地で行く男だ。

宮崎駿監督は、彼のことを「いまいちぱっとしない男」だというが、普通のおっさんのように見えるのが、かえって「背中で語る」ような渋さを持つ。

パイソンやマニューリンなどを愛用している次元は、なんとなくイメージが違うだろう。逆に、ルパン、そしてシティハンター、冴羽獠がM19を使っていたら、なんか違う感が漂うだろう。

「プロだから、より作動不良の起きにくいリボルバーを。装弾数の少なさは、『どかどか撃ちゃいいってもんじゃねぇ』。」これが自然な形で言い切ることができるのは、やはり次元というキャラクターだし、そして、「完璧な撃つ道具」としてのM19だからできることだと思う。

そう、稀代の名ガンマンの手にあるから、稀代の地味銃であるM19は輝く。

日本で手に入れるなら。モデルガン、トイガンのM19

ニューナンブ並に出演回数も多いM19だから、トイガン化、モデルガン化も相当な数がされている。もちろん、次元の持つ4インチから始まり、6インチ、2.5インチ、おまけにシルバーモデルのM66と、より取りみどりだ。

モデルガンなら、コクサイとハートフォードが二大巨頭。
ただ、コクサイのモデルガンは、すでに絶版になっている。現時点で最高なのは、やはりハートフォードだろう。たまに再生産もされているがすぐに売れてしまうので、在庫を見かけたら即入手がおすすめだ。

そして弾が撃てるエアソフトガンなら、タナカのガスガンがおすすめだ。

以前なら東京マルイのガスガンも選択肢に上がってきていた。スタイルが少しデフォルメされたりしているが性能はいい。ただ、もう絶版になっている。もし店で見かけることがあれば、こちらも即入手がおすすめする。

タナカのガスガンは、もうモデルガンと言っていいほどスタイルは洗練されている。

タナカも東京マルイも、画期的なシステムを積んでおり、エアソフトガンのリボルバーの歴史にターニング・ポイントを刻んだ。
というのが、リボルバーのくせに、六発、いやその倍くらいは装弾数が増えている。いわゆるケースレスリボルバーと言うやつだ。

説明しよう。これまでのリボルバーのエアソフトガンは、カートリッジ式というのが主流だった。
これは、実弾を模したカートリッジにBB弾を仕込み、そして、そのカートリッジを、銃本体のシリンダーにセットする。かなり手間がかかる方式だ。

となると、シリンダーにガスタンクを仕込めないので、グリップにガスタンクを装備する。となると、シリンダーまでにガスルートを作らなければならなくなるので、どうしてもパワーのロスが来る。

そして、シリンダーは回らなければ、リボルバーと言えないので、どうしてもシリンダー内のカートと本体フレームの間に隙間ができ、ここからもガスが逃げていく。
結果として、ほかのガスガンに比べ、カート式リボルバーはローパワーだった。

しかし、リボルバー使いにとっては、神聖な儀式ともいえる、撃ち終わったら、シリンダーを開く。そして、エジェクターロッドを押し、パラパラと転がる空薬莢が地面に転がる音を楽しむ。

それを堪能した後で、おもむろに、弾を込める・・・。メタルギアシリーズに登場するリボルバー・オセロット風に言えば「銃が生き返る!」というやつか。
しかも、西部劇から銃に興味を持ったならば、神聖な装弾数、六発しか入らない!弾をばらまく最近の多弾数オートと違い、一発一発に、気合・・・いや魂が注入されていく、この感覚がわかるのではないか。

リボルバーの醍醐味として、この装填と排莢の楽しみがある。だから、カートリッジ式のリボルバーも、いまだ根強い人気を持つ。

しかし、タナカと東京マルイは違った。

シリンダーが開く、というのはカート式と同じだけど、弾を直接シリンダーに込める方式・・・つまり、シリンダーそのものをマガジンとする方式を選んだ。
そのために、タナカなら12発、マルイなら24発ものキャパシティを誇る。排莢アクションを捨て、必要最低限、シリンダーは開ける、というところで妥協し、さらにオートに迫る性能で迫ろうという考えは見事に当たって、すっかり、今のエアソフトガンのリボルバーの主流は、ケースレスになってきている。

特に、タナカが積む独特のシステムは、ペガサス・システムと言い、これまでのエアガン・リボルバーの「弱くて当たらない。」というものを一蹴した。
というのが、「カートリッジ積まないのなら、いっそガスタンクをシリンダーに詰めてしまえ! 」ってことで、シリンダーがマガジンとガスタンクを兼ねている。

これによって、ガスは直接弾を飛ばす。つまり、パワーロスが画期的になくなった。そして、排莢アクションに代わるものとして、タナカが提案したのは、リアルさだった。

少しばかりおもちゃっぽい東京マルイと比べ、カチッとしてシャープなスタイルは、まさに撃つマシーン「M19」そのもの。
また、フレーム内部機構も、本物を再現してあるので、メカフェチにとっては、フレームを開けて中身を覗く、という楽しみが増えたし、しかも、実銃のグリップが使える、というところもうれしいメリット。

そう、実銃のグリップはかなりバリエーションが豊富。トイガンなら、「この銃限定」と言う風に限られるので、グリップのラインナップが寂しくなる傾向にある、が、タナカM19はそれを補っている。

価格が2万ぐらいするが、それでも「夢」を買うためには致し方ないだろう。
しかも、だんだんと改良がくわえられ、最新のバージョンVer.3なら、ガスの気化効率などで、かなり「使える」リボルバーになっている。
マルイのリボルバーが生産中止の憂き目になった今、「おもちゃおもちゃしてない」「オートともやりあえる」ガスリボルバーの選択肢はタナカしかない。

バリエーションは、次元の使っている4インチもあるけど、スナブノーズでアンダーカバーを気取りたいなら、2.5インチもある。

手軽にエアソフトガンのM19を手に入れたいなら、クラウンモデルという手もある。

クラウンモデルについては別の記事にまとめているので、詳しくはそちらを参考にして欲しい。

リーズナブル次元銃!クラウンモデル S&W M19

クラウンのガスリボルバーM19は外見は、タナカなどにはかなわない、オモチャオモチャしているが、何よりも一万円を切る安さ。それに釣り合わない高性能。
装弾数は6発のカート式だけど、ツボを押さえたリボルバー好きなら、にやりとなる仕様だ。

くたびれているけど、いまだ輝きを失わない漢の魂 M19。エアソフトガンとして手元に置いてみてはどうだろう。