世界最高のNo.2、次元大介という男『 次元大介の墓標』

次元大介。

言わずと知れた、ルパンファミリーのNo2。そして、世界最高のNo2。と言うか、「俺の嫁」ならぬ「相棒にたい」度はぶっちぎりでトップなのではないだろうか?
破天荒なルパンを、あきれ顔を見せながらも完全サポート。何せ世界中が敵に回っても、「まったくおめぇって奴は。」ってな一言で地獄のそこまで世話を焼く。その完璧なお母さんっぷりは、『コブラ』のレディ。バカボンのママと匹敵する具合の包容力!

しかし、次元大介という男。語るのは難しい。よく考えてみてほしい。彼から銃とルパン三世を取ったら、何が残るだろう?ただのおっさんではないか!
宮崎駿自身「次元はルパンとつるんでないとぱっとしない男」と述べている。『ゴルゴ13の倒し方』という本では、「ルパン三世の倒し方」の章で「銃しか能がない男」とばっさり切られている。

もちろん、普通のおっさんが悪いというわけではない。フィリップ・マーローから、『カウボーイ・ビバップ』まで、主人公はそんなにど派手ではない「普通系」の人々だ。
というより「ハードボイルド」とは、普通な日常を丁寧で繊細に描くことにより、スタイリッシュさがポリッシュされるのではないか?

2012年、『峰不二子という女』というシリーズが放送された。しかし『次元大介という男』というものはなかった。が、2014年、ついにそれにあたるものが現れた。

それが『次元大介の墓標』

完全に新作となった『次元大介の墓標』。ルパンに新しい息吹を吹き込んだ新シリーズ『峰不二子という女』からのスピンオフ的立場にある本作。「アダルトのためのアドベンチャー」と言うコンセプトはそのままに、次元大介が主役。

パッと見で、これまでTV版ルパンとは一味異なる原作版テイストの漂う作画。しかも、おなじみの「ルパン三世のテーマ」さえ流れない。言ってみれば「ガキ臭い」演出が一切なされていない。
全編にわたって密度が濃い。

おかけで、DVD発売だけではなく、二度にわたって劇場にかけられる。という名誉に預かった。それだけの魅力を持つ『次元大介の墓標』さっそく、中をのぞいてみる。

まず感じること。

峰不二子、五右エ門が登場しない分、ルパン、次元の二人に焦点が当てられて、ぶれない。この作品の時代背景は、二人が組み始めて間もないころのお話。というのも物語に緊張感を与えている。

いつものように阿吽の呼吸が取れていない。お互いに「次元大介」「ルパン三世」とフルネームで呼び合うところに、まだお互い「海のものとも山のものともしれない」不信感を漂わせている。
しかし、その中で、描かれるのは、等身大の悪党。ルパン三世が、「狙った獲物は必ず死の運命に送りこむ」凄腕スナイパー。

ヤエル奥崎に言い放った台詞。

「俺に言わせりゃ、自分での意志で引き金も引けない。ただの道具さ。」

これだ!久しぶりに「ホンモノのルパンを見た!」
今のように「ルパン三世」=「スーパーヒーロー」として名前が定着していない。だけども一人の男として、男の美学を貫き通そうとする悪党。それはルパンだけではない。
次元もだ。
次元は一人の女のために、最強のガンマンに立ち向かうことになるのだが、その理由も「彼女が命さえかけてプロ根性を見せてくれた」からだ。
もちろん、惚れたはれたもあるだろうが、次元を動かすのが、ただの恋愛沙汰ではなく、「プロと言うこだわり」にこだわったのがいい!

また一方で、70-80年代の、懐かしいアクション映画へのオマージュが散らばっているものうれしい。

例えば、敵役のヤエル奥崎が使用するのは、水道管にグリップと引き金とスコープが付いたような、ボルトアクションライフル。これが、旧名作スナイパーアクション映画『ジャッカルの日』に出てくるような、実用性一点張りのスタイルを、もっと洗練させたようなカッコになっていて、実に気持ちいい。
あるいはまた、ボタンを押すとボンネットから重機関銃が飛び出す車。これなんか説明不要でボンドカー。ラバースーツに身を包んだ怪人の股間部が割れ・・・。なんてところは、原作のアダルトテイストだ。

また、さりげなく銃についてのうんちくが出てくるのも、ルパンファンとして見逃せない。
銃撃された際には、ジクザグに走って逃げる。銃声が今のようなリアルだが味気ないものではなく、西部劇のような余韻のある音。抜き撃ちに有利な軽量な22口径。しかも命中精度がやたらいい単発式のカスタム。敵方のヤエルは、このように銃を使い分けるところがなんともうれしい。

どこかで商品化してくれないかしら?そしてとどめに、357マグナムであることを使った頭脳プレイ。

「お前がどんな銃を使おうと勝手だがな、俺に言わせりゃ、ロマンが足りねぇ。」

最後の次元の台詞がやたらと決まる。この物語では、357マグナムに泣いて357マグナムで笑う。357マグナムでないと成り立たないドラマだ!まさに、次元のエピソードにふさわしい!

そう、ルパンに欠かせないのが頭脳プレイ。ルパンがだんだんスーパーマン化していくのに対し、初期のルパンはあくまで「腕っぷしは強い」。裏を返せば撃たれたり切られたりしたら当たり前のように死ぬ。「普通の人間」として描かれている。じゃあ、それを補ってなお、ルパンを『不死身の男』に仕立て上げたのか?
それが頭脳プレイ。
タネさえわかれば、再現が可能というリアリティ。気づけば「ボク」だってできるかもしれない。けど、天才的に思考の盲点を突く。そして、この『次元大介の墓標』でも、頭から尻尾の先まで、頭脳プレイが詰まっている。ワンアイディアで一つ短編ができそうなネタ。よくもここまで考え付いたものだ!
そして、ラストで明かされる衝撃の事実。
その意外な人物の登場。古くからのルパンファンなら思わず手をうつその人物とは。ぜひとも、君の目で確かめてほしい!

そんなものをひっくるめて、等身大の悪党が活躍するタランティーノ作品の香りがプンプンする。しかも、原作通りの絵が、宮崎駿並のリアリティと動きの切れで迫る!
ファーストシリーズが新しい血を得てよみがえったと言っても過言ではない。
『ルパン三世史上に残る傑作エピソード』というキャッチフレーズは伊達ではない。
例えば、ルパンファミリーが今度こそやられる、というふれこみの作品。しかしラストでは生きている。私もこの「死ぬ死ぬ詐欺」にはいい加減うんざりしているが、本作では「マジで死ぬのでは?」という緊張感が常に漂う。

Mr.「ルパン三世」=山田康雄が天に召されてから、ルパンの首脳陣も一新されてしまった。しかもある日突然、電撃的に。しかし、その中で唯一声が変わらないのは「次元」だけ。まさに次元ポジションが「おふくろさん」レベルであることの証明だろう。その次元の不動さにふさわしい一本。それが『次元大介の墓標』だ。

というわけで、次元氏と言えば銃。それも、いまだに現役なKフレームの到達点。M19だ。そして、東京マルイのM19も、2013年にリニューアルされて出ているのは、もうご存知だろうか?

今回もいろいろ小改良がくわえられている。特筆すべきは、命中精度がさらに安定したこと。過去にリニューアルされたパイソンに詰まれたVホップアップシステム。これが今回積まれることになった。ただでさえ東京マルイ印。命中精度には定評があるM19に、さらなる磨きがかかった。

また、2.5インチバージョンも発売されたのもうれしい。これは、漫画版『ルパン三世Y』での、次元の愛銃。

同マンガでは、ルパンもワルサー最新作、ワルサーP99を使っている。愛銃がリニューアルされて、気分が一新なところへ、次元もスタンダードな4インチから2.5インチへ変更している。
文字通り豚の鼻のようなスナブノーズで、そんなに当たるかい!とツッコミを入れられそうだが、これが実によく当たる。軍用ヘリからピンホールショットまで、次元が持つとそれが「当たり前」になるのは、JIGENMAGICだ。
また、つるっとしたグリップも、一回り小さく、それでいてキッチリと指をのせるくぼみが付いており、独特のカスタム。短い銃身に実によく似合う。携帯性・抜くときの速さ。などと、いくらでも理屈はつけられるが、このスナブノーズは実にかわいい。そのくせマグナム・リボルバーのワイルドな雰囲気もばっちり!

4インチが無骨なおっさんだとしたら、2.5インチはプリティベィビィ。次元もそこに魅かれたのかもしれない。そして、カート式にカスタムできるガスリボルバーは、今のところこれだけ。ルパン観賞時には、弾をカチャカチャやる究極のバーチャルリアリティ。ゲームの時には、24連発のファイヤーパワーがものを言う。次元大好き派にも、そうでない方にも、手放しでおすすめできる次元の相棒だ。というか、次元好きなら、これを持っていないとモグリ!?

というわけで、片手にマグナム。片手にバーボン、灰皿にはポールモールといういでたちで見てもいいじゃないか『次元大介の墓標』新しいファンにはスタイリッシュさ。古いファンには懐かしさ。ルパン屈指の一本に、どっぷりハマろう!