愛しの刑事銃、M59とM645。オールドスタイルS&Wオート。

これぞコップ・ガン!というと何を思い浮かべるだろうか?
ベレッタM92F?グロックシリーズ?

双方とも、主役格の刑事の手にしかと握られているのは確かだ。
特に、M92Fシリーズは、映画『ダイ・ハード』『リーサルウェポン』各シリーズを皮切りに、刑事のデフォルトとして、銀幕での活躍が華々しい。

しかし、かつてベレッタに匹敵するように、コップ・ガンとして、破竹の勢いで多くのハートをわしづかみにした銃がある。
S&W M59、そしてM645を代表するS&Wのオートたちだ。

刑事ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』

まず最初に「スタさん」ありき。
1977年に、日本のテレビに颯爽と登場したTV刑事ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』。

今でも「スタハチ」コンビの名を聞くと、胸が熱くなる方もおられるだろう。2004年には、『スタスキー&ハッチ』として映画としてリメイクもされた。

なんといっても、旧TVシリーズのリアルなガンアクション。
スタスキーの見せた「リアルな」銃裁き。
一発一発丁寧に打つのではなく、必ず二連射(ダブルタップ)で仕留める。
銃口を上にあげたり、ましてや前へ出しっぱなしで構えたりせずに、体に密着した状態で保持する。実際、突き出したまま構えていると、物陰から「にゅーっ」と手が出て、銃を奪い取られかねない。
たったそんな二点でも、日本の刑事ドラマとは一線を画していた。

そして、左右にセフティがあることを生かしたバリケードテクニック。
敵の死角を突いて銃を手に回し、発砲準備完了!

など、「ホンモノ」感あふれるハンドガンの扱い。
実際、これで初めて「コンバットシューティング」のかっこよさに目覚めた方も居るかもしれない。

そして、スタさんの手に輝くのが、S&WのM59。
当時としては最新のオートだったこれ。手に入りやすい9mmパラベラム弾が、チャンバー込みで15発入る。
このブローニング・ハイパワー並みのダブルカラム採用のファイヤーパワー。

撃鉄を落としていても、引き金を引けば発砲できるダブルアクション機構さえ兼ね備えている。
ワルサーP38、ブローニング・ハイパワーのいいとこ取りしたようなこの銃。
それでいて、ずんぐりしているけど都会的なスマートさを持った、「S&W」デザインとしか言いようがないライン。
シャープな直線と曲線で構成されたデザインは、今でも見劣りしない。
これと比べると、コルト45オートなんか泥臭い田舎者に見えた。

『マイアミバイス』でのS&Wオート

続けて「洒落もの刑事」の金字塔、『マイアミバイス』でも、M645をはじめとしたS&Wオートを愛用。

ブレンテンに変わり、主人公、ソニー・クロケットの手に光る銀色のエレガントな45口径に、目が釘付けになった方もおられるだろう。
伝説的二大刑事ドラマ! このおかげで「S&Wオート」は、現在でいうベレッタのようなスタイリッシュな銃、という図式が不動のものとなった。
日本でも『太陽にほえろ』では、ドック刑事がM59を。『あいつがトラブル』でも、主人公の美咲がM39デベルカスタムを、と、活躍の場は広い。

トイガンのS&Wオート

それを受けて、雨後のタケノコのように、トイガンが出ること出ること!
S&Wのオートを出してない著名なメーカーを探すのが難しいぐらいだった。

特に、エアソフトガンのマルゼンM59。黎明期のエアガン時代を支えた名品。
飛び散るカート紛失を避けるため、カートキャッチャー完備でサバゲーフィールドを走り回ったことを、懐かしく思い出す方もおられるだろう。

そして、MGCのM645。
初めて「サイクロンバレル」を搭載。命中精度良し、トリガープル良し、観賞用にも良し。と三拍子そろったシロモノ。
まさにMGCの顔役。
シューティングマッチで、サバイバルゲームで、そして何よりも『マイアミバイス』ファンなら、必携してたんじゃないかな?

しかし、M645を手に入れて、まずびっくりさせられること。
それは、グリップの太さ。
見た目のシャープさに反して、まるで角材を握っているようなゴン太感に襲われる。
さらに言うと、そのおかげで、スライドストップ。マガジンリリースボタンが遠いこと!
また、スライド後部に位置されたセフティも、親指が届かない。
結局、日本人サイズの手では、操作には両手が必要になる。
うーん、これぞ、アメリカンサイズ!?

それがアダになったのかもしれないが、後発のSIG、カスタムされたガバメントクローン。グロックなどに押され、今や、クラシカルなS&Wオートを出しているのは、数えるほどしかない。

一番リーズナブルなのが、東京マルイのM645だろう。

エアコッキングで、細い棒のようなマガジンが残念だが、マルイの1900円シリーズの黎明期を支えた銃。今でも販売されているのが、優秀さを物語る。
リーズナブルで高い命中精度を誇る銃だ。
ただ、空撃ちに注意!
本体内に常に弾が確保されるシステムを取っているので、「弾がないだろう」と思って引き金を引いたら思わぬ暴発事故も!
常に、実弾が入っている実戦志向で、扱いは丁寧に。

そして、エアガン最高峰と言えば、これだろう。
ウェスタンアームズ。ショーティ40だ。

フルサイズをぐっと切り詰めたコンパクトガン。
しかし、S&Wオートの魅力をぐっと凝縮した銃。
懐かしの刑事ドラマ、『あいつがトラブル』のヒロイン、美咲が愛用していた「デベルカスタム」。最近では、刑事ドラマ『アンフェア』のヒロイン、雪平が愛用していたレディスミスを彷彿させる。

実際、それらの銃と、本銃、ショーティ40とは、少しずつ細部が違ってきているが、それらとの大きな違いは、装弾数の差だ。
しかし、重くマイルドで、優雅ささえ感じさせるブローバックキック。そして的に正確に吸い込まれていく弾。
S&Wオートの魅力が存分に味わえる。
もちろん、ウェスタンアームズだから、撃って良し飾って良しのハイクオリティ。
限定スポット生産で、時々改良を加えながら販売される。
見つけたら、ぜひとも手に入れておきたい逸品だ。

しかし「銃と言えば火薬と硝煙じゃい!」という硬派な方には、マルシンのモデルガン。
S&WM39はどうだろうか?

M59に対し、こっちはシングルカラムのマガジン。その分握りやすくなっている。
これまた、1980年代のモデルガン人気から続く名品。
PFC方式のカートで発火性能抜群!
さらには、マガジンを抜いたら、引き金を引いてもハンマーが落ちないマガジンセフティに代表される、メカ再現の忠実さ。
一回ドンパチをしたら、常にクリーニングが必要だけど、それすら「実銃に浸ってる」感覚で楽しめるあなたは、ぜひトライを!

S&Wのイメージ

「S&W」と言えば「リボルバー」
口の悪い人から言わせると「S&Wは、リボルバーだけ作っとけばいいんだ」だそうだが、80年代の刑事ドラマ。しかもあか抜けたやつとなると、やはりS&Wのオート!
最新のポリマーフレーム、M&Pも名銃で最新モード。

いや、M&Pもいいんだが、今や、ポリマーフレームオートばっかり前面に出てきて、忘れられた感が強いが、「鉄の塊」の、一種究極なスタイリッシュオート。
S&W・M59の系譜も、改めて手に取ると、今だからこそ新鮮な息吹を感じられることだろう。
何より「刑事たち」が熱かった、あの時代の血潮を、ぜひともその手に!