映画

元祖マグナムオート、オートマグ

マグナムオート、というのは、ロマン武器である。

数十年たつというのに、デザート・イーグルの成功から、目立った自動式マグナム拳銃がリリースされていない、ということからも、いかにこのカテゴリが「実用的」でないかわかろうというもの。

しかし、普通の拳銃の二倍はあるというそのでかさ。マグナムという大口径弾薬ゆえの独特のデザイン。根強く、各社から生産されているデザート・イーグル。

今や、すっかりデザート・イーグル一色だが、かつてマグナムオートと言えば、こいつだった。

オートマグである。

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オートマグといえば。『ダーティーハリー4』

「オートマグ」と言えば、やはり『ダーティーハリー4』だろう。

何せ今回のダーティーハリー。田舎に行ったらチンピラに襲われている。普通だったら「北斗の拳」のモヒカン扱いなそいつらに、なんと完膚なきまでに叩きのめされる。

その完膚なきさ、と言えば、自分のアイコンの「S&W M29」を海中に落としちゃうくらいだ。

この辺から、見てるこっちも「あれっ? いつもと違う」という緊張感が流れ始める。
そして、ハリーが怒りとともに繰り出したのが、このオートマグ。

冒頭から「新兵器」としてその雄姿を存分に見せたこいつ。

ラストシーン。遊園地ですっくと立ったハリーのシルエットに、M29よりもシャープなこれの美しかったこと!
そして、ハリー特有の、狼の咆哮のような「マグナム轟音」。そして涼やかに響く空薬莢のコーラス。オートはこれじゃなくっちゃいけません!

デザート・イーグルもそうだったが、マグナム拳銃は「THE!マグナム」という唯一無二な姿をしている。
ワルサーP38を彷彿させるすらりと伸びた銃身には、連射で銃身上に陽炎が立ち、狙いを邪魔するのを防ぐためにクーリングホールが開けられている。

強力なマグナム弾を収める機関部には、贅肉を落としたボクサーのように無駄なモノが一切ない。
そして、普通の拳銃のように「スライド」を操作するのではなく、モーゼルのように「コッキングピース」を引いて「ボルト」を操作する。

ハイパワーな弾薬に対応するため、ライフルのシステムを流用した仕組みになっているのだが、それにしてもスリムな機関部から、「にゅっ」とバカでかいボルトが引き出されるのは、視覚上もインパクトがある。

おかけで、オートマグといえば、シルエットから一発でわかる! SFにでも出てきそうなそのスタイルは、かつてあったどんな銃とも違っていた。唯一無二なデザインが出来上がった。

今までマグナムと言えばリボルバーしか知らなかった世代に、「オートで薬莢さえはじけ飛ぶ」オートマグナムの洗礼を叩き込んだのだった。

オートマグの活躍する作品

それを受けて、各メディアでもオートマグは引っ張りだこ。

例えば、和製ダーティーハリー・『ドーベルマン刑事』では主人公の相棒、宮武鉄二が特注のロングマガジンとともに颯爽とこの銃を振り回している。

ギャグマンガ『甘く危険なナンパ刑事』でも、主人公はこれを振り回すのだが、警察用としてもオーバーなこれが、ギャグ世界のコミカルな雰囲気を生かすのに一役買っていた。

そして今でも、『バイオハザード』シリーズに、マグナムとして出てくるあたり、その人気の高さがうかがえる。

今は昔、トイガンでバリエーションの多かったオートマグ

そして、それを受けたトイガン界も、バンバンオートマグを出した。

MGC、マルゼン、マルイ。名だたるメーカーが次々競作。

しかし、エアソフトガンの中でも、特にインパクトが強かったのが、マルコシのオートマグカスタムだろう。
他に先駆けて、かの銃を再現したこれ。何せ、まだつづみ弾+カート式が当たり前の頃からリリースされたのだ。

原作の1.5倍はありそうな巨体。

まだ洗練されていないメカニズムを入れるために、こうなったのだが、それでも、同社が出している「スーパー9」の機関部が流用されている、という触れ込みが、この大きさと相まって、いかにも「THEマグナム」な感じがした。

押し込んでコッキングするタイプだが、撃ってみるとライフル弾のカートが勢いよく飛び出し、「マグナム撃ってるな」感がハンパなかった。

のちにBB弾だけを詰めるケースレス方式に生まれ変わり、時代に合わせたロングセラーになった。それでもカート式システムを生き残してくれたところ、「わかってるなぁ」と感動するばかり。

しかし、時代は変わる。

いま手に入るトイガンのオートマグ

今、エアガンのオートマグを手に入れようとすると、東京マルイのオートマグか、マルシンのオートマグかしか選択肢がない。
東京マルイのものはコストパフォーマンスの高さ、取り回しやすさが魅力。

東京マルイ(TOKYO MARUI)
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また、その後継者である、オートマグⅢもちゃんとリリースされているのが魅力。
メディアでの露出は少ない。しかし、元祖オートマグとは別物の、SF銃のようなスマートさ。
しかも、ライフル弾である、.30カービン弾を使っている。
別名の「ボディアーマーキラー」の名は伊達ではない!

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そして、マルシンのオートマグは、その名も「クリントワン」。
モデルガンでリリースされている。

加えてガスガンまで用意しているところに、気合がひしひしと感じられる。

分解もできるだけ本物に近づけてあるし、セフティやボルトストップなどの機能は実銃そのまま。サイズの方も実銃に近い。

オートマグに心奪われた方なら、一丁は持っていて欲しいマスターピースだ。

と、いろいろよしなしことを書いてみた。

いかがだったろうか?

今や「デザート・イーグル」ばかりが前面に出てきて、オートマグはその陰に隠れる、といった感じに、時代を感じるのは私だけだろうか?

しかし、そうなればなるほど、「ツボに入る」名銃として、ますますその輝きを増す。それがオートマグだ。


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