ルパン三世の車についてのアレコレ。新・旧フィアット500
2014年に公開された、実写版映画『ルパン三世』。評価は様々だったが、娯楽映画としては楽しめたと思っている。
内容はさておき、『映画泥棒』とタイアップしたり、宣伝、アトラクションは多彩だった。特に、ルパンの愛車、旧フィアット500を作っている自動車メーカー、フィアット社直々に、ルパンとコラボCMもしていた。
こいつはうれしい話だった。例えば、ワルサーPPK/Sなんか、「グレートな車! グレートな映画!グレートな秘密兵器! それだけが真にビンテージと呼べる。」とさりげなくボンドの銃として宣伝している。
つまり、メーカー側で、ガジェットを・・・それを内包する映画を認めてくれた!こいつはすごい!
そして、われらがルパンのフィアットも、コラボ対象となった。
『日本人は、ルパン三世で、あの黄色い車を知った』という、「どうしてこうイタリア人はセンスフルなんだ!」というキャッチコピーとともに、映画で活躍する旧フィアット、そして新フィアットも紹介されている。
わざわざ、「ルパンカフェ」なるイベント展示場まで作ってしまう、気合の入りっぷりだ。
新しいフィアット500は、世界的に大ブレイク。例えばBMWのミニと比べればわかるけど、原作をリメイクするデザインの妙、いかにもイタリアン車のようなスポーティな乗りこごち。世界的に大ヒット作となった。
その実力は、例えば生まれたてほやほやの、2008年に「カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞、など華々しい受賞履歴からもわかる。
それまで、イマイチ、ヒット作に恵まれなかったフィアットの経営を救済したともいえるこの車、日本でも大いにウケた。
あの『ガタピシ車で行こう』で有名な、FIAT専門(笑)漫画家、山本マサユキをして「もっとアクセルを踏みたくなる!」といわせ、某雑誌の「乗りたい車ベスト10」にランキングしたこの実力人気!
さらに、日本のミニカーの代名詞、男の子ならだれでも子どものころお世話になった、ミニカーブランド「トミカ」ともコラボ!
ニュー・フィアット500とともに、旧フィアット500まで、出ているのが、ちゃんとファンの心理をとらえている。
ルパンの旧フィアットは、ドリームトミカシリーズからのラインナップ。現品は確認してないが、写真から見る限り、あの日本で二番目のアカデミー賞映画監督、宮崎駿監督のルパン映画『カリオストロの城』をイメージしてあるらしい。
手のひらどころか、指先に載るサイズなのに、細部がちゃんと表現されている。巻かれたテント、スコップ。そしてチャージャー全開状態など、職人芸とうならせる小ネタが満載!
これが700円で手に入るとは、いい時代になったものだ。(ルパンファンにとって。)
もともと、フィアット500は、旧式の方も、「ルパン三世」以前から人気商品だ。
なので、有名無名、各社様々なミニカーが出ている。
しかし、その中でも、とくにプッシュしたいのが、京商の『ミニッツ・リッツ』シリーズの、フィアット500だ。
手のひらに乗る本格的ラジコンカーとして有名なミニッツシリーズだが、それを、楽しさまでぎゅっと凝縮したのがミニッツ・リッツシリーズ。
ミニクーパー・コペン、そして今回紹介するフィアット500まで、小型・軽自動車をモデル化したものだ。
で、何が凄いか、というと、全長10cmぐらいの、手の中にすっぽり覆い尽くせるサイズなのに、デジタルプロポーショナル方式を取っていること。
デジタルプロポーショナルとは、スロットル、ステアリングを、手元のコントローラーの入力に合わせて、スピード、操舵角を自由にコントロールできる。
トイラジのステアリングなどが、ON・OFFだけなので、何回も切り返さないと障害物を潜り抜けられないのに対し、これなら一発で思い通りのコースをトレースすることができる。
しかも、ラジコンでならした京商だけあって、このコントロール感の人馬一体感がすごい。そこは少しスロットル切って、そこは思いっきりスピード出して・・・というフィーリングが、コントローラーを通して、手の延長のように操れる。
また、「もう少しスピードが欲しい」とか「もっと安定した走りを。」という方には、パワーアップしたモーター、リアのがたつきを押さえるTバーや、ダンパー。など、各種カスタムパーツがそろっている。つまり、改造して、自分の思い通りの逸品を作り上げることが可能だ。
おかげさまで、うちも決して凹凸が少ないとは言えない路面で走らせているのだが、全速力を出してもコケもせず、アンダーステアもなくオーバーステアもなく、素直な車に仕上がっている。
そう、急カーブで方輪を上げながら、それをこらえてぱたんと元に戻って、何事もなく走り出す、というのは、映画さながらだ。
加えて、この小ささ。同社の目玉作品で、スモールRCカーの代表的なミニッツシリーズは、この小ささでも、フルスロットル出して家具にぶち当たり、ボディが破損! という泣きを見た方もたくさんおられる。
しかし、ミニッツ・リットは、ミニッツシリーズのおよそ三分の二という、その小ささゆえ、気兼ねなしにフルスロットルにできる。四畳間しか走らせるところがない、という方でも、フルスロットルの楽しみが味わえる。
一時期、おんなじ「スモールラジコンカー」というコンセプトで、各社からそのカテゴリが出て、群雄割拠状態になったが、それでもミニッツシリーズが生き残ったのは、ラジコンとしての走りに注目を置いたからに他ならない。
そして、そのボディ。コートがかかった、艶のあるボディは高級感を醸し出し、本作のフィアットでも、ワイパーに始まり、ちょこんと突き出た丸いサイドミラー、はては排気管まで、そのリアリティに妥協はない。
もともと。ダイキャスト製モデルカーも、京商の十八番なので、そのクオリティをラジコンのボディに惜しみなくつぎ込んでいる。
その完成度は、わざわざボディだけを『オートスケールコレクション』と称し、観賞用ミニカーにも十分商品たり得る、その実力から見てもわかるだろう。
このボディのクオリティの高さ、豊富さも、ミニッツの人気を支える一因だ。
また、シャーシを調整して、ボディを切り替えられるという利点もいい。
その中には、モーリス・ミニクーパーもある。
そう、ミニクーパーと言えば、押しも押されもせぬイギリスの代表的な大衆車。
しかも、ルパンも何かとこの車と縁があるみたいで、例えば『ルパンVS改造人間』を筆頭に、けっこう出演している。
そして、その活躍は、都会のスイーパー『シティハンター』などのバードボイルド作品から、コメディ『Mr.ビーン』まで、幅広い。
はては、ミニクーパーのカーチェイスがウリの映画『ミニミニ大作戦』などという、そのまんまなタイトルのものから、最近では『ボーン・アイデンティティー』での大チェイス。
大した排気量もない車が、かつてのモンテカルロ・ラリーで優勝を果たしたフットワークの良さで、追跡者をきりきり舞いさせるというのは、見ていてカタルシスがある。
というわけで、飾って楽しい、走らせて楽しい、一粒で二度おいしい、ということなら、ミニッツ・リットをおすすめする。
ほとんど三十分の一というスケール。極端にかさばらない小ささは、まさにデスクトップにおいておくのにピッタリ!
あのスクリーンを飾った名車を、自由自在に操り、主人公の気分をバーチャル体験する、というのはいかがだろうか。