銭形警部の愛銃コルトM1911、100年生き抜く名銃の魅力

ルパン三世を語る際、次元、五ェ門、不二子のルパンファミリーに加え、忘れてはならない宿命のライバルがいる。銭形警部だ。

ルパンのいるところ、必ず銭形あり。
ファーストシリーズでは、ルパンを死刑台に送ることが夢なのに、実際に捕まえると
「まるで、警部は、ルパンに脱獄してもらいたいみたいですな。」
と看守に言われるほどの動揺を見せたりする。

というか、今やすっかりルパンファミリーの一員としての待遇に甘んじているような銭形警部だが、原作の・・・そして劇場版ルパン三世『DEAD OR ARIVE』のハードボイルドな銭形警部もいい。

しかし、アニメ版のドジな銭形にも、原作版の渋い銭形警部にも、腰にぶら下がっていてもらいたいものがある。それはやはり、コルトM1911。通称ガバメントモデルだ。

実銃のコルトM1911は、フォルクス・ワーゲン・ビートル並に、ギネスで「世界一売れた拳銃」があるのなら、記録されていてもおかしくない銃だ。何せ、ビートルはもう生産が終わってしまったけど、M1911は、パテントが切れた今、SIG、スターム・ルガーなど、軒並みの名だたるメーカーがコピーを作り上げまくっている。その中には、ライバルだったS&W社のSW 1911も含まれている。

名前通り、1911年に開発されたこの銃は、なんと一世紀を生き抜いてきたのだ。それは、ブローニング・シリーズの開発に関わった天才銃器デザイナー、ジョン・ブローニングの先見性があったかもしれない。きわめてシンプルな構造は、故障しにくいあかしだし、単純ゆえ作動不良も起きにくい。つまり、どんなシチュエーションでも作動できる。湿気が多く、泥や砂にまみれるベトナム戦争から湾岸戦争まで、優れた実戦経験がそれを物語る。何せ、泥づけにしても撃てるという恐ろしい実験までやらかしている。

ブローバック時に少しだけ、薬室とともに銃身が後退し、発射のガス圧を逃さないショートリコイルは、今や大型オートならすべて装備している。太めだが握りにくいということもないグリップ。親指が自然な位置にくるセフティなど、「人間工学」などまだ名もなかった時代に、ここまでユーザーフレンドリーなものを作り上げたのは、まさに天才の先見の明の一端を見るようだ。
また、使っている弾丸が、45口径と言うのも、不動の人気を支える要因の一つ。特にアメリカでは、45口径に対する信用は絶大・・・いや、神話化されている。もともと、米西戦争で、先住民のモロ族とアメリカ軍が戦った時、38口径の銃では、一発、二発もらっても、突進してくるモロ族に脅威を感じた米軍。「ならば、一発で人間の動きを止める強力な弾を。」ということで用意されたのが、45口径。

実際に、体の弱いところなんかにあたると、こぶし大の穴を開けながら内臓をミンチにする・・・らしい。一センチ近くもある銃の口径を覗き込んだら、さもありなんという気がしてくる。

それはさておき、西部開拓時代のころから、45口径はピースメーカーと切っても切れない仲・・・つまり、アメリカ人にとって切っても切れない仲だ、ということ。車のフロントガラスで止まってしまうほど貫通力が低い。ベレッタでおなじみの9mmパラベラムでも、弾頭次第では45口径と同じストッピングパワーを持つ、などと噂されながらも、M1911は1985年に、ベレッタにとって代わられるまで、米軍の正式採用拳銃の座に輝いたのだ。しかも、一部の部隊は、「M.E.Uピストル」など、いまだにM1911カスタムモデルを使っている。

また、ガンメーカーも、米国輸出の新しい銃をデザインするときは、M1911に近いグリップ感、操作系統を目指して作られることも多い。もちろん、45口径。それだけアメリカ人は、M1911にほれ込んでいるのだ。

しかし、銭形警部とM1911の場合、「名は体を表す」ではないが「銃は体を表す」をぴったり表現している。もともと、戦後の警察の中には、米軍から払い下げのガバメントを携行している者もいる。だから、銭形がM1911を持っているのはリアリティがある。
「弾を撃つんだから、必要最小限の装備しかいりません」という、シンプルかつ、頼もしさを感じさせる巨大なバレル。カスタムも何もない、すっぴんのM1911ミリタリーモデル。使い込まれて、メッキが剥げてつるつるになっているM1911こそ、質実剛健を絵にかいたような銭形警部にふさわしい。

かように人気のある銃なので、モデルガン、ガスガンともにラインナップが充実している。その中で、「これからトイガンに手を出すのは初めてです。」と言う方なら、東京マルイのガス・ブローバックのM1911をプッシュする。

リアルな外見。ただ、撃鉄を起こした時に、ファイヤリングピンが覗くところに六角ねじが見えるのはご愛嬌。命中精度、タフさ。加えて低価格。

そして、案外侮れないのが、同社の低価格エアコッキングガンのM1911。まぁ、弾を撃つたびにいちいちコッキングしないといけないという弱点はあるが、実銃通りに、スライドストップを抜いて分解ができる。3000円という値段で、ここまで再現するとは、マルイ恐るべし!

予算がないけど、とりあえず手元にM1911が欲しい、という方は、選択肢に入れてもいいのではないだろうか?
そして、ガス・ブローバックM1911なら、東京マルイとともに、このメーカーをあげなければならない。老舗のカリスマメーカー、ウェスタンアームズだ。

1994年に、完成されたマグナ・ブローバックとともに送り出されたウェスタンアームズのM1911は、ガンフリークの間で熱狂的に歓迎された。実物と同じく、弾が発射された後にブローバックが始まるリアルさ(と言っても、あっという間なんで、実感できる人なんているのだろうか?)そして、その分、マズルが固定されているので、高い命中精度を実現。そして、グリップフィーリングはもちろん、セフティのクリック感まで、ガバメントへのリスペクトが感じられるM1911は、WAガバ・・・つまり「和」ガバメントとして受け入れられた。
その後、度重なる改良で、よく聞かれるガス漏れ、ホップアップシステムの弱点を克服。実銃のカスタムM1911から、アニメガンのM1911まで、破竹の勢いでバリエーションを展開させている。

某雑誌でも「ガバメントばかり続けている愛しき変態メーカー」とまで評されたウェスタンアームズのM1911は、マルイと双璧をなす・・・いや、高級感・実銃感だったら、間違いなくマルイをしのぐ。また、その耐久性もはなまるだ。というのは、私なんか購入して20年来経ったけど、この銃は現役で稼働する!
これは、前述した「カスタム・バリエーションが豊富。」と言うことも大きなアドバンテージになっている。ということは、中古で安く手に入る機会も多い。すると、ジャンク品から気にいったパーツを抜く、ということができる。

もともと、そんなやわではなかったウェスタンアームズのM1911だけど、やはり私の印象は「不死身のタフガイ」と言ったところだ。最近は、やたら特別仕様を増やして、その分定価アップ!(3万程度)なところが鼻につくが、それでも、ディスカウントショップ、リサイクルショップを探せば、マルイ程度で出費を抑えられる。また、高いカネを払って売られている新品のカスタムモデルも、高い表面仕上げ、思わずうならされるギミックの数々で、それだけの価値は十分あると思う。

マルイの方も、かなりカスタムパーツが出回っているので、ウェスタンアームズでもマルイでも、俺の俺による俺だけのM1911を作り上げることができるのもうれしい。もちろん、M1911という銃は、戦争ドラマ『コンバット』に始まり、スティーブン・セガール主演の映画、刑事もの、「拳銃を使うシチュエーション」がある作品なら、必ずと言っていいほど出てくる銃。

銭形フリークだけではなく、「空想の中だけでも、マッチョなタフガイを気取りたい。」というのなら、M1911をお勧めしたい。