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コードネーム U.N.C.L.E. と元ネタ、0011ナポレオン・ソロ

2015年に公開された『コードネーム・U・N・C・L・E』。米タイム誌ではその年の映画トップ10にも選ばれた。007シリーズをしのぐ面白さ、との噂もあったが皆さんはどうご覧になっただろうか。

アメリカNo1のスパイと、ロシアNo1のスパイが手を組み、世界崩壊の危機を食い止める!
こう書くと、古参のスパイ活劇大好き人間にとって、わくわくしてこないだろうか?

冷戦の緊張が高まっていた時代、東西大国の対立は好んでスパイ映画の題材になっていた。そして、たいていが「悪いのは東!」のように描かれていた。今回も、ずばり敵国同士のスパイが手を組んで、核テロリズムと戦うのだが、その悪戦苦闘ぶりは如何?

実はこの映画、60年代にヒットしたTVドラマのリメイクだ、ということ。皆さんはご存じでだっただろうか。その名も、主役のスパイの名を取って『0011・ナポレオン・ソロ』だ。

『コードネーム・U・N・C・L・E』で、アメリカ人スパイが「ナポレオン・ソロ」その相棒が「イリヤ・クリヤキン」と名乗るのは『ナポレオン・ソロ』から来ている。

国際機関アンクルきってのスパイ二人が、毎週毎週世界の危機を救う。途中からは世界征服を狙う巨大組織が出てくるよ。つまり『仮面ライダー』並にわかりやすい悪玉。ペン型通信機で「オープン・チャンネルD!」ワルサーP38をベースにアンクルが改造した銃。など、スパイ心をくすぐるガジェットの数々。そして、女性に甘いソロと、いつもクールなクリヤキン。対照的な二人の掛け合いが、まさに「バディムービー」のお手本という感じ。

007シリーズで、スパイものが一気にブームになったあおりをうけ、『ナポレオン・ソロ』も大ヒットした。
何せ、日本では、「ビートルズか?ナポレオンか?」とあおりを受けたほど人気が出た!初めて見る人には新しく、古参のファンには懐かしい『コードネーム・U・N・C・L・E』。まだ見ていない方にはぜひ見ていただきたい作品だ。

しかし、古くからのファンにとっては、すこしがっかりなところもある。それは、アンクルの諜報員のトレードマーク。ワルサーP38アンクルスペシャルが、今回の映画では出番がない!ワルサーP38アンクルスペシャル。それはおっさん世代のガキ時代には、燦然と輝く心のお宝。

普通はワルサーP38の銃身を切り詰めた外観をしている。しかし、いざ火力が必要な時には、ロングバレルにストック、とどめとばかりにスコープがつき、アサルトライフルとして頭角を現す!特に「合体」とか、「豪華なおまけ」という言葉に目がなかった我々ガキどもは、そのギミックに目を輝かせた。

あまりの人気に、のちのアニメ『トランスフォーマー』シリーズ。破壊大帝メガトロンが、もろアンクルスペシャルのP38カービンに変形するのは、鮮烈に覚えている方も多いだろう。

もちろん、人気商品なので、モデルガン化された。しかも、当時のトイガン界をけん引していたモデルガンメーカー界の雄、MGCによってだ。フル金属で、すべてのギミックを再現したこれは、当時のガキ世代にとってよだれ物の高値の花。しかし、時代は残酷。ブームが去って、とっくの昔に絶版になっている。

加えて、現在、確かにアンクルスペシャルというのはかっこいい。しかし、小学生でもパイソンやベレッタ。銃の基礎知識を仕入れることができる世の中で、やはりP38のカービンは珍妙に見える。銃身やストックを無理に延長したような外見。今ではグロックや45オートをピストル・カービンにできるキットがあるが、そっちの方がずっとスタイリッシュだ。

映画に出てきても、鉄パイプの塊みたいなレトロな外観が浮いてしまう。そう言ったわけで、映画ではカットされて、代わりにワルサーの競技銃ベースのカスタムが出ている。こっちの方がより洗練された姿をしている。しかし、なんていったってピストル・カービンのはしり!やはり将来は、ブルース・リーかスパイになりたいと思っていたガキ世代には、寂しいものがあるではないか!

という方には、マルゼンのP38デタッチャブルはどうだろうか?

発売から何回も再生産が繰り返されているのは、優秀のあかし。タフで高性能なマルゼンのP38が、アンクルスペシャルとして戻ってきた。名こそ「アンクル」を名乗っていないが、特徴的なマズルブレーキの短銃身。ストックを付けるためのグリップは金属で、雰囲気抜群!抜き打ちの際に引っかかりを抑えるため撃鉄をカットしてある。こんな細かいところも、きちんと再現してあるのは、並々ならぬファンの気迫が入っていてうれしい。

そして、別売りのロングバレル・サイレンサー・折り畳み式ストック・ロングマガジン・スコープマウントというこのコンプリート具合!

もちろん総金属製!手に持った時のずっしり感+ひんやり感は、これ以上のものはない!ある時はサイレンサー使用、ある時はカービンでスナイパー気取り(スコープは完全にダミーで、レンズなどは入っていないので注意!)

こんな具合に、気分に合わせて組み立てが楽しめるのも、デタッチャブルP38のいいところ。特に、バレルをねじ込み、ストックを付け、スコープを載せる。この一連の組み立て過程が、ターゲットを前にしたスナイパー気分を満喫させてくれることウケあい!

ただし、サバイバルゲームなどに持って行くのは、剛性、使いにくさの点からやめておいた方がいい。しかし、観賞用なら、ブローバックし、弾さえ出る!まさにMGCのアンクルカスタムの正統進化形、いや、今世紀究極のアンクルカスタムと言ってはいいのではないだろうか?

また、今回の映画で、「ロシア人」のクリヤキンが、ソ連を代表する銃、マカロフを使っているのもうれしい。ちょうど、KSCから、改良された第二バージョンが発売されたところ。

第一ロットの弱点「機関部の作動が渋い」という点も改良され、まさにジャストタイミングなリリースだ。

対するナポレオン・ソロはブローニング・ハイパワーを使っている。堅牢で、いまだに使い続けられているこの銃。私的にはCZ75以上の名銃だと思っているが、認知度の割に作っているメーカーが少ない。しかし、モデルガンはマルシン。エアガンならタナカが作っている。しかもうれしいことに、ミリタリーモデルからコマーシャルモデル。中国刻印モデルまで、幅広いバリエーションがそろっている。

タナカのガスガン、どちらかと言うと観賞用なのだが、それでも、豊富なバリエーション、多彩な表現仕上げは、やはりコレクター欲をそそる。

というわけで、ざっと『ナポレオン・ソロ』関連の銃を駆け足で見てきたが、いかがだったろうか?一方で、スパイ映画の顔役『007 スペクター』もリリースされ、まさにスパイ映画繚乱だ!この機会に、このギミック満載の「スパイガン」を手に入れて、SFと見まがうほどのスパイ秘密兵器が華々しく活躍していたころに思いをはせるのも悪くないのでは?