映画

スパイガンは永遠に。007、ジェームズ・ボンドの銃「ワルサーPPK」

2015年はスパイ映画の当たり年だった。

かつての名作スパイTVシリーズ『ナポレオン・ソロ』のリメイク『コードネーム U.N.C.L.E.』。

そして、007『スペクター』。

「ボンドが金髪!?」など、歴代ジェームズ・ボンドのイメージを打ち破るダニエル・グレイグの起用。そして、いざ、ふたを開けてみると、かなりのハードボイルド風味。悪い言葉で言えば、今までの「ちゃらけたプレイボーイ」感が吹き飛んだ。

タフで寡黙なボンドは、歴代ボンドのようなスーパーマンっぷりが薄れ、その代わり等身大のヒーローが全身全霊をかけて戦う。いわゆる「金髪のボンド」となってから、『007』シリーズも変わったのではないだろうか?彼が演じるボンドは、とてもスーパーマンじゃない。

例えば、前作『スカイフォール』では、テストの結果「任務には不適切」と断言される。

仲間には撃たれるわ、過去に傷を負っているわ、本来「ジェームズ・ボンドなら、そんな葛藤はあり得ない。」と言いたくなるほど、悩み傷つく。

しかし、それを跳ね返して、次の任務へ赴く。ボンドも「俺達と同じ、弱点がある」という親近感、だけど「我々にはできないことをやる。」そこに等身大の戦う漢の姿が!スーパーヒーローではないが、難敵に挑み続ける!

そして、このたび最新作『スペクター』だ。なんでも『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』と続く、6代目ボンドサーガ。前作と密接なつながりを持つ、いわば総まとめに入る作品。見る前から期待が高まる。

それで、ボンドの銃と言えば、やはりワルサーPPK/Sだろう。

ワルサーP38に先駆ける、完成したダブルアクション機構を持つPPシリーズ。

その小型版である、ワルサーPPKが、あまりにも小さかった。ゆえにアメリカに輸出した時に、法規定をクリアできなかった。
仕方なく、フルサイズのPPのフレームをくっつけたら、装弾数が増えるわ、グリップが安定して握りやすくなるわ、いいことづくめだった。

そして、世界中の法執行機関に大ヒット!なんと「日本」のSPでさえ使われている。その小型、堅牢なシステムは、紙のようにどこへ持っていくにもかさばらず、いざとなったら確実に敵に向かって吠える。私立探偵、そして護身用と大ヒットを重ね、現在でも生産されている。

コルト1911に並ぶ、大ロングラン製品だ。
第二次世界大戦の大悪玉というイメージをかぶって、苦戦していたドイツ工業品。その悪しきイメージを一掃したのが、『007』シリーズを筆頭とした、スパイ映画だった。

話が変わるが、例えば大ヒットした懐かしのスパイTV映画『ナポレオン・ソロ』で、特注のアンクルスペシャルなるP38カスタムは「麻酔弾」を使うという設定だった。これが「殺しはやらず、スパイ活動はスマートに」という、一種「正義の味方」という方向性を決定づけた。

007も当然、麻酔弾といういかにもスパイ浪漫あふれるものは使っているだろう。実際に、ワルサー本社でさえ、そのような「スパイ映画」を、PPKシリーズの宣伝につかっている節がある。ほとんどがポリマーフレームな銃が並ぶワルサーのサイト。しかし、そこで鋼鉄の冷たい輝きを醸し出している銃。それがPPKなのだ。

ジェームズ・ボンドが不死身なように、PPKもまた不死身だ。

それでは、ジャパニーズトイガン「PPK」を手に入れよう。真っ先に挙げられるのが、マルゼンのガスガン、PPK/S。

全長160cmに満たないボディに、マルゼン最新鋭のアドバンスドブローバックを詰め込んだ逸品。
何せ、本家本元のワルサー社からの協力も受けているので、再現性もばっちり。ルックスはもちろん、図面まで提供されていて、刻印もばっちり。セフティをおろすだけで、自動的に撃鉄が安全に落ちるデコッキング機能も再現。
トリガーガードを外してから分解する手順は、モデルガン、いや実銃を分解している気分に浸れる。

また、中型拳銃のエアソフトガンとしては目を見張るものがあり、冬場でも手で温めてやったら、腕に心地よい衝撃を置き土産。ターゲットを見事に撃ち抜いてくれる。

蛇足ながら、全弾撃ち尽くすとホールドオープン。そして、いちいちマガジンを抜いてからスライドをもとへ戻す。というサイクルを踏む。この辺が、スライドストップ一発でスライドが戻るという現代銃ではない、オールドタイマー感を出していてすごくいい。しかも、空撃ちモードまで変換できる。これは、撃っても撃ってもホールドオープンしないという機構。まさに薬莢が出ないモデルガンと言ってもいい。

機構も比較的タフ。弾道を調整できる可変ホップまでついて、価格が一万円を切るモデルもある。これはお買い得の一言しかない!また、別売りパーツで、サイレンサーさえつけられる。

一回は「ボンド、ジェームズ・ボンド」と名乗ってみたい方はもちろん、サバイバルゲームでかさばらなく、タフな相棒を探しているアナタにもおすすめ。いや、中型オートファンなら、必携の一丁だ。