これが最新英国スパイ!『キングスマン』

007シリーズ最新作『スペクター』。往年の名作スパイドラマ『UNCLE』の映画化。と、スパイムービーの復権か!?けれんみたっぷりと書いて「誇大妄想」と呼ばせる悪党、そして、敵味方入り混じるガジェット。オッサン世代にうれしい映画続出だ。

しかし、あなたの心の映画館に、これも加えてほしい。

『キングスマン』

2015年9月に劇場公開され、12月にDVDがリリースされた作品だ。

主人公、ハリー・ハート。通称「ガラハット」は、一見ただのダンディなテイラーに見える。しかし、その裏は、世界のどこの組織にも属さない。中立的な立場で国家間のトラブルを解決し続ける秘密組織、「キングスマン」の一員なのだった!
そして、「キングスマン」のメンバー、ハリー・ハートが、殉職した仲間の息子に、遺品のメダルを渡すところから、物語は始まる。

その息子、「エグジー」は、グレた生活を送っている。つまらないトラブルで、刑務所にぶち込まれたとき、思い出したのがハリーのことだった。エグジーを引き取りに行くハリー。しかし、彼の胸には、別の計画があった。それは、新たなメンバーとして、彼を「キングスマン」にふさわしいスパイに育て上げることだった。さて、スパイ版「マイ・フェア・レディ」の結末は、予想をはるか上回り、驚愕の事件へエグジーを巻き込んでいく!

一風風変わりな、「コスプレしてるだけ」ヒーローの活躍を描いた『キック・アス』。

その監督、コリン・ファースがメガホンを取っているだけあって、小粒ながらかなりの傑作に仕上がっている。

時々スローモーションを活用したバトルシーン。その場にある意外なものを使う、まさに踊るように戦う演出の切れっぷりは、さすが『キック・アス』をヒットさせた監督。
そして、誇大妄想的な巨大な敵。おバカ紙一重の秘密兵器。往時の懐かしいスパイ映画のプロットをうまく現代風にアレンジしている。
「少数の凄腕スパイが、世界を救う」というファンタジー。それを見ていてスカッとするぐらい納得させる。
特に、ラストへ続く大どんでん返し、ピンチの連続に追い込まれる。しかし、それを乗り越えようと奔走するエグジーたちの活躍。きっと漢の血が騒ぐはず!

しかし、その中で、グレてはいるが、正義感の強い若き「キングスマン」候補が、新鮮なヒーロー像を打ち出している。
エグジーのさりげなく、だけど何度も夫のDVから母を救おうとするシーン。そして、世界を救った後で、彼が取った行動。ヒーローは、愛する人を救うついでに、世界を救う。そんな言葉が浮かんできて、涙がにじむ。
このように、エグジーについて、丁寧な描写がされているところが、ピリリとスパイスが効いている。

しかし、ストリーズガジェット的には、是非この辺を強調したい!なぜに!?英国紳士の精鋭スパイ軍団が、トカレフを使用しているのだ!

そう、トカレフと言えば、日本でもある意味有名。「粗悪品」として「撃つ方にも危険」と悪名ばかり先に出ているトカレフではないか!

いや、トカレフは名銃だ。コルト45オートをお手本にしながら、極限までメカニズムをシンプルにした。何せ、基本分解で、ハンマーユニットまで取り出せる銃はこれくらいしかない。実際、WWⅡの極寒の戦場。ドイツが誇るメカニズムのワルサーP38は、ガンオイルが凍り付いて役に立たなかった。そして、トカレフに軍配が上がった。

あるいは、このように「極限まで単純化して、コストや故障率を下げる」のがトカレフ思想。その延長に、世界を超えて活躍するAK47。通称「カラシニコフ」がある。
という具合に、歴史的にも意味が深い名銃。それがトカレフ。なのだが。やはり「安全装置がない」というのは、精神衛生上悪い!実際、トカレフと言うと「三流品」のイメージが思い浮かぶ。

それは、価格破壊の激安さ。そして、中国の粗悪なコピー品の氾濫。そしてやっぱり「安全装置もないのか! 」これにつきるだろう。もちろん、SIG系統の銃のように、内部での撃鉄ロックシステムもないから、薬室に弾を一発入れている「常に戦闘状態」の方にはキッツイ逸品だと思う。

何せ大戦中に作られた銃。基本設計が古い。しかし、英国紳士な「キングスマン」メンバーは、これを愛用している!ボスさえも主人公に向かって差し出した銃はこれだ。しかも、スパイのビックリドッキリメカ用に、ショットガンの弾まで撃てるようにしてある!銃身の下に、ショットガン用の銃身をアタッチメントとしてつけているのだ!

おいおい、英国紳士なら、もっとふさわしい銃があるだろうが。イギリス軍御用達のブローニング・ハイパワーなんか、もっとも紅茶が似合う銃だろよ。と思っても、なぜか旧ソ連製「トカレフ」なのだ!


ブローニング・ハイパワー

しかし、キレッキレのハイスピードアクション。まさにガンカタ、あるいは『デスペラード』か?弾切れもなく、時々思い出したように装填しながら、軽快にこいつが火を噴きまくるところを見ると、トカレフが欲しくなることウケあい。

では、現在トカレフを出しているメーカーは?というと、トイガン界のマイスター。KSCのものがある。もちろん、サバイバルゲームで使えるガスガン仕様。しかし、これが「ジャパニーズトカレフ代表!」というぐらいの傑作。リアルな外観はファイアリングピンまで再現している完璧さ。

スライド中央部にあるクリップのようなピンを抜くことから始める分解は、実銃通り。また、ねじを使わずに、内部のレバー操作によって外れるところさえ、忠実に再現している。また、切れのいいトリガー。可変ホップの採用で「粗悪品」のイメージを払拭せんがごとくよく当たる。

最新鋭ブローバックエンジン「システム7」も、まさに『キングスマン』の劇中の如く快調キレッキレ!口の悪いライターの中には、「もう少しユーザーが調整しまくるところがあった方が、よりトカレフらしい」などという冗談も出てくるほどだ。最新の技術でよみがえったKSCトカレフ。これで、一風変わった紳士スパイを堪能してみては?

ただ、実銃を再現してあるので、スライドを引かなければ撃てない仕組みになっている。撃鉄だけ上げて「あれ?撃てない?」なことにならないようにご注意!

さらに、「キングスマン風味」にしたいのなら、ハートフォード社の「ビームフォードe」を持ってくるのはいかがだろうか?ビームフォードeとは、本格的なコンパクトレーザーサイト。しかし、そのアタッチメントが豊富!ほとんどの銃に適応可能となっている。特に、セット内の汎用マウントレールは、ブローニングハイパワー・ワルサーP38、どんな銃でもほとんど適用可能となっている。もちろん、トカレフにもつくスグレモノ!

で、これが汎用性の高い20mmレイルとなっているから、このレーザーサイト以外にも、フラッシュライトなどのアタッチメントがつけられる。シチュエーションに応じて、銃身下のいろんなオプションを切り替えることができる。これのガジェット風味こそ、スパイの醍醐味だ!

そして、もう一つ。『キングスマン』を通して、忘れてはいけないのは「傘」そう、英国紳士たるもの、いつも予期せぬ事態に備えて、傘を携行してなくてはならない。例えば突然の雨に、そして激しいガンファイトに備えるため。

「キングスマン」特製の傘。一見ブランド品の傘にしか見えないそれ。ところが防弾加工で、サブマシンガンが仕込んであるスグレモノ!これで弾を弾き返しながら、傘越しに向こうの風景がまるでゲームのように投影され、火を噴くマシンガン傘。

この、いかにもスパイ映画らしいけれんみあふれる演出にぐっと来た方もおられるだろう。というわけで、サバイバルゲームにも、傘を持って行くことを強く提案したい。実弾の雨は防げないが、BB弾の豪雨ぐらいは持ってくれそうだ。ぜひとも、今度のサパゲーは、フォーマルでばっちり決めて、片手にはバーバリーの傘を!

などと冗談はさておき、実は銃型の傘は市販されている。そう、握りの部分がピストルグリップだったり、ライフルだったりする。木製のグリップが付属していたり、引き金部分で傘を開けたり、と各社工夫を凝らしている。もちろん、弾丸発射機能はないみたいだが、ここはやはり、鏡の前でキングスマンを気取るためにも、一本いかが?