チーフスペシャル異端!S&W M40センチニアル

小型リボルバー。通称スナブノーズの代名詞と言えば、S&WのM36。通称チーフスペシャルだ。

ケータイ並みに場所を取らず隠し持て、しかも確実に作動することから、1950年以来、現在までずっと生産されていることが、この銃の優秀さを物語る。
日本警察さえ採用。また、その知名度を受けて、アクションものから推理ものまで、「護身用リボルバーと言えば、通行人Aのように頻発して出てくる。

例えば映画、『ダイハード3』

ラストで、二発しかないクズ弾で、戦闘ヘリに対処する。それで使われたM36の雄姿を覚えておられる方も多いだろう。
そして、有名機種の宿命で、様々な派生型が作られてきた。
そして、ついに幻のこいつも発売されるようになった。
M40、通称センチニアルだ。

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S&W M40 センチニアルとは

センチニアルとは、同社のM49「ボディガード」と同じく、抜き撃ちで余計なものが引っかからないように、撃鉄が内蔵されているチーフスペシャルだ。
しかし、ボディガードとの違いは、本来ハンマーが出っ張っている部分が思い切り削られて、ボディの中におおわれていること。
文字通り「撃鉄を切り落とした」という感じ。
ハンマーが露出したところを、フレームで覆っている、「恰幅のいい」ボディガードと違って、かなり細身なイメージだ。
また、グリップ後部には、握り込む形でセフティ解除される45オートのような安全装置も完備! 
「レモン・スクイーザー」(レモン絞り器)とあだ名されるゆえんだ。

S&W創立100周年を記念して作られたこれは、のちにM442として、余計なグリップセフティをなくす形で新発売されているほど人気が高い。

トイガンのセンチニアル

しかし、知名度が高いわりに、トイガン化される機会に恵まれていなかった。
そして、MGCのモデルガンはとおに絶版。個人やショップのカスタムで、痩身な「センチニアル」を作り出すしかなかった。

しかし、ついにタナカがこれを手掛け、「ガスガン」「モデルガン」両方出している。
撃鉄のないところを覆うフレームのラインは、コンパクトなJフレームリボルバーをさらにスリムに見せる。

まるで上品な猫のようだ。

また、中身はS&W社のメカニズムを可能な限り完全コピー。
実銃のグリップが付くのはもちろん、実は、S&W系のメカニズムは、モデルガン化した時に、コルト系のメカニズムと比べて、信頼性が高い。

コルト独特のメカニズムは、強度的に劣るモデルガンの素材では、完璧に再現しづらい。
よって、耐久性、信頼性を落としても実銃を再現するか、メカ的に大きくアレンジを加えるかして出される。

それに比べ、S&Wのこれは、そのままモデルガンに落としても、大丈夫。
モデルガンなら発火式カートを五発。

ガスガンなら薬莢を取り出すギミックは無いけど、10発もBB弾が入る。

両者とも、その性能は折り紙付き。

しかも、サムピースの形などが少々違う「アーリーモデル」

最新のセンチニアル「M442」までラインナップされているのは、さすがタナカ!

ただ、センチニアルという銃。マニアにはたまらない銃だけど、例えばあなた、「センチニアル」と来て、ピンとくるだろうか?
おそらく、この記事を見て初めて知った! という方も多いと思う。
M49「ボディガード」なら、『あぶない刑事』シリーズで、タカさんの窮地を救った愛銃として、活躍を見せているのだが。

ちなみに、ちゃんとタナカでもM49はリリースされている。
しかも、ガスガン。モデルガン。お好きな方で。

いまいち不遇なセンチニアル

だけど、イマイチ「ストーリー」に出てこないセンチニアル。
個人的な感想だが、それは「撃鉄をガチャガチャやれない。」ことにあるのかもしれない。

リボルバーの醍醐味とは、空になったシリンダーに一発ずつ弾を入れていく緊張感。以外にも、「撃鉄の上げ下ろし」があるのではないだろうか?
これはリボルバーだけではなく、銃の醍醐味だ。

廉価版エアガン・ガスガン。トリガーに指を込めても、ピクリとも撃鉄が動かないのは興ざめかもしれない。
だけど、背中のスレンダーさからくるセクシー加減は、他のチーフスペシャルと比べてみても秀逸で、無二。

持っていて「ちょいカスタム」なリッチな気分が味わえる。
これが「センチニアル」ではないのだろうか?


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