映画

コルトを超える、『シングルアクションアーミー』というジャンル。

コルトのレジェンド。それは未だに生き続けているM1911オート『ガバメント』であり、そしてもう一つが『シングル・アクション・アーミー』だ。

略してSAA。二つ名が「ピースメーカー」。平和の使者、というところが、いかにもアメリカンなスピリッツ。

「西部を開拓した銃」とも呼ばれるこの銃は、西部開拓時代から脈々と生き続け、そして、現在でも脈々と生産され続けている。

コルト社だけではなく、それ以外のメーカーからも続々とクローンが作られていることは、コルト45オートと同じく、その人気の高さをうかがわせる。

世に出てから 以上愛される、かの銃の魅力とは?

コルトSAAとは

まず、ピースメーカーというのは、恐るべき骨董銃だ。

リボルバーの特性として、六発しか入らない。

しかも、シリンダーが横に振り出るわけでもなく、銃本体に固定されているから、シリンダー後ろにあるローディングゲートを開けて、いちいち一発ずつ排莢、そして再装填するしかない。

現代の多弾数を誇るオート、いや、シリンダーをスイングアウトできる現代リボルバーと比較しても、お話にならない。

しかし、そこがいい。

そのおかげで、開拓時代の血まみれの歴史とは決別し、「スポーツ競技」向けとして割り切って使われているからだ。

その代表的なものが「クイック・ドロウ」つまり早撃ちだろう。まるで居合のように、「ただホルスターから抜いて、撃つ」それだけにすべてをかける!

銃身の長さもいろいろあるのが楽しい。各々愛称が付いているのも歴史と人気の高さ故だろう。

もっともポピュラーな4.75インチシビリアンのモデル。これは西部劇にも頻出しているし、携帯、取り回しにも便利だ。

7.5インチのキャバルリー・7.5インチのアーティラリーは、迫力がある、

あるいは、スナブノーズ短銃身、シェリフモデルは、文字通りシェリフが隠し持って持ち歩くために3インチ。

そして超ド級の12インチ銃身、バントラインスペシャルまである。

コルトSAAた登場する作品

『メタルギアソリッド』で、ピースメーカーを愛用する「リボルバーオセロット」

鉢の群れを叩き落とすガンプレイではないけど、さながらブルース・リーのヌンチャク使いの如く、華麗に振り回し、果てはお手玉のようにジャグリングする。

そこには、「銃撃戦」とか「実戦」を乗り越えた美しさがある。

武器という枠を離れた銃、血なまぐささを捨てた、まるでモデルガン感覚。
それが、コルトSAAの大きな魅力ではないだろうか?

とにかく西部劇。名無しのガンマンだろうがジャンゴだろうが、とにかくSAAが無いと始まらない。

エクスペンダブルズの「バーニー・ロス大佐」

西部劇以外でも活躍の場は多い。例えば『エクスペンダブルズ』。

スタローン演じるバーニー・ロス大佐が、これを愛用。

もちろんカスタムモデルで、携帯に有利な短銃身バレルには、反動を抑えるためのマグナポートが開けられている。撃鉄もファニングする時に指を引っ掛けやすくするため、上向きになっている「現代」っぽいカスタム仕様。

これを「最後の切り札」として使っているところが渋い。

「もう腕は錆び付いてる」とぼやきながら、電光石火の抜き打ち、撃鉄をぶっ叩きながら連射、流れるように敵を倒すのは、まさに現代に蘇ったガンマンだ。

トイガンのコルトSAA

この骨董銃を吊ってサバゲーへ出かけてみるのも一興だ。

しかし、いくら「永遠の一丁」と言ってみても、最近はオートしかウケないのだろうか?今、ピースメーカーのエアガン、といっても、二社ぐらいしか出していない。

タナカとマルシンだ。

ペガサスシステム搭載、タナカのSAA

性能から言うと、断然タナカ。

シリンダー内にガスタンクを備えているペガサスシステムのためカートは出せない。しかし、パワーも十分だし、12発というおよそリボルバーらしからぬ装弾数を備えている。

そのバリエーションも豊富で、もちろん黒鉄の艶あふるるメタルフィニッシュからシルバーまで。ロングバレルモデルのキャバルリーから、スナブノーズのシェリフモデルまで。

シリンダーが実銃通り外れるもの。グリップが「バーズヘッド」と呼ばれる先端が丸くなっているもの、さらに、外部メーカーによってカスタムパーツが豊富なのも嬉しいところだ。

実際、マッチでも、果てはサバゲでも、ピースメーカーをぶら下げている方は、たいていタナカだ。

いちいち撃鉄を上げなければならないシングルアクション。そして、弾切れ、さらにガス切れを起こすと、厄介な手順でリロードしなければならない。

これを片手に、弾幕の雨に立ち向かう。人は彼を勇者と呼ぶ!

マルシンのSAA

そして、タナカのピースメーカーと並ぶ、もうひとつの雄。それが、マルシンのピースメーカーだ。

こちらのものは、実弾を模したカートリッジ式のリボルバーとなっている。装填・排莢が実物と同じ手順で扱えるというのがウリ。

特に、デラックスタイプの高級感は、黒地のフレームに、金色でふちどられるグリップ部分が美しい。しかも、木製グリップがデフォルトでついてくる。存在感がひとつ上だ。

カート式だから、構造上ガスルートに遊びが出てきて、パワーが弱い。しかも、六発しか入らないという不利を乗り越えて、それでもピースメーカー独特の儀式をするために、これを買う人も多い。

その証拠に、発売以来小改良を加えつつ、未だに生産が続いている。

さらに、今回バルブの高出力化、ガスタンクの大型化などで、さらにパワーアップしたSAAが新製品として予定されている。

しかも、7.5インチのキャバルリー・7.5インチのアーティラリー、そしてもっともポピュラーな4.75インチシビリアンのモデル。

まさにピースメーカーファンの期待を裏切らないマルシン!

これで、ピースメーカーという唯一無二の個性的な銃の魅力にハマる人が、ひとりでも増えてくれると嬉しい。